たまには千沖も良いんじゃないですか。 



「たまには私が攻めます」

ずし、と僕の上に乗り掛かって千鶴ちゃんはそう言った。

「…え?」
「いつもいつも私は沖田さんに翻弄されてばかりですから、たまには私が沖田さんを振り回したいんです!」
「え?」
「だから今日は、沖田さんはおとなしく私に振り回されてください!」

気合い充分といった様子で彼女は宣言する。
たぶん千鶴ちゃんは本気なのだろうけど、一言言わせてもらいたい。

何なの、この可愛い過ぎる生き物は。
え、何、襲われたいんですか。いいよ、襲うよ。むしろ襲わせてください。

「……沖田さん?」

完全に固まってしまった僕を見て、千鶴ちゃんは心配そうに僕の顔を覗き込む。

「あ、もしかして私重いですか?」
「いや、全然大丈夫。もっと肉が付いていても良いくらいだよ」

そう言って僕が彼女の太腿をするりと撫でると彼女は悲鳴じみた声を上げた。

「な、何するんですか!今日は私が沖田さんを攻めるんです。沖田さんはおとなしくしててください」
「じゃあ千鶴ちゃんが僕をおとなしくさせてよ」

そのまま彼女の首筋に顔を埋めて、白いそこをべろりと舌で舐めると千鶴ちゃんは小さく震えた。

「お、沖田さんっ、待って、」
「やだ。待ちません。ほら、千鶴ちゃんも僕をおとなしくさせなきゃ」
「…っ!」

顔を離して彼女の顔を見つめると、千鶴ちゃんは真っ赤な顔で瞳に涙を溜めて僕を睨んでいた。

「あ、その顔めちゃくちゃ可愛い」
「ー隙有りです!」

にやけながら千鶴ちゃんの顔を見つめていたら、彼女が両手で僕の顔を挟んでちゅ、と小さく口付けた。
それからべろりと僕の唇を舐めて、にっこりと笑った。

「仕返しです」
「………不意打ちはずるいと思いまーす…」

ああ、もう、僕の千鶴ちゃんはどうしてこんなに可愛いのだろう。

「沖田さん、顔が真っ赤ですよ?」
「うるさい。誰のせいだと思ってるの」

ふふ、と小さく笑う千鶴ちゃんに僕は赤くなった顔を隠すように口付けを落とした。



(…たまには千鶴ちゃんに振り回されるのも良いかもね)
(ふふ、でしょう?)
(…まあ、結局は僕が君を振り回すんだけど)
(!?お、沖田さん騙しましたね!)
(千鶴ちゃんが僕を振り回そうだなんて百年早いよ)
 
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