降る雪が美しいように 



今日は朝からはらはらと雪が降っていた。


「…雪、降ってますね」
「ああ。千鶴、寒くないか?俺の羽織りを貸そう」
「ふふ、ありがとうございます、はじめさん」

千鶴とこの斗南の地で過ごす冬はこれで何度目だろうか。

「…俺は果報者だな」
「どうしたんですか、いきなり」
「いや、おまえと今年も一緒に居られたことが俺は嬉しいのだ」
「今年もだけじゃなくて、来年も再来年もずっと一緒ですよ?」
「ああ、そうだな」

白く濁った空からは、相変わらず小さな雪がはらはらと舞っている。
斗南での冬は相変わらず寒い。
だが、毎年変わらずに降る雪は美しくて、俺はそれが好きだった。

「…はじめさん、また来年も再来年も、その先も、ずっとずっと一緒にいてください」
「ああ。おまえも、ずっと俺の傍にいてくれ」
「はい、ずっと、ずっと傍にいます」

琥珀色の瞳と視線が絡み合って、二人で小さく笑いあった。
こんな日々が、ずっと続いていけばいい。

「…はじめさん、生まれてきてくれてありがとうございます。大好きです」

微笑みと共に紡がれた言葉が何よりも嬉しくて、愛しくて、幸せで、俺は彼女を強く強く抱き締めた。



(はじめさん、雪が止んだらまた雪兎作りませんか?)
(…悪くないな)





斎藤誕生日おめでとう!
 
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