命が尽きる最期の時まで、武士として生きたいと願った。
噎せ返るような生臭い血の匂い。
鳴り止まない銃声。
地に伏せる亡骸が味方のものか、敵のものなのか、それすら今の俺にはわからない。
刀を握る左手に力を込める。
この身体で、俺はどこまで戦えるのだろうか。
俺は、最期まで誠の志を持った武士としていられるだろうか。
脳裏に鮮やかに甦るのは、あの浅葱色と、掲げた大きな誠の旗。
壬生の蒼き狼「新選組」。
そこが、俺のただ一つの居場所だった。
俺を拾ってくれた、居場所を与えてくれた新選組のために、俺は戦ってきた。
ー本物の武士とは何か。
それを教えてくれたのは、誠の旗の下集った新選組の仲間だった。
俺は、彼等のためにも最期まで戦いたい。
誠の旗を守るために、俺は戦う。
銃声はまだ、鳴り止まない。
一人、二人と味方がまた倒れていく。
戦場には、血の匂いと煙が充満していた。
「…微衷を、尽くすのみ」
小さく呟いて、赤黒い血がこびり付いた刀を構える。
それから、戦場には似つかわしい雲一つない青空を見上げ、大きく息を吸い込んだ。
「新選組三番組組長、斎藤一、いざ参る!!」
一振りの刀を携えて、地を蹴った。
誠の旗と、新選組を脳内に強く強く焼き付けて。
(俺は生きて、生きて、戦う)