「えっ・・・・・・」


うっかり告白みたいになってしまったけれど、きっと辛島くんはどうしていいのかわからないだろうから。

「好きよ、辛島くん。田島くんも、川口さんも、きっとそう思ってるわ。・・・危ないことは、してほしくないけれど」

「・・・うん。ありがとう、国府さん」

どこか遠くを見るような笑顔。

伏せ目がちな、笑顔。

けれど、僅かに下がった目尻とか。
いつも引き結ばれている口許が微かに緩んでいたりとか。
そんなことに気付いてしまう。

辛島くんはきっと、気付いていないのだろうけれど。
彼も気付かないような変化に、きっと私は気付くのだろう。
気づけるように、いつでも気をつけて見ていたいと。
見ていようと、決めたのだから。
辛島くんの声は、とても綺麗。
そして、警察の特殊組織に協力している彼は、それだけ犯罪者に触れる機会も多い。
いつか心の闇に負けて、欲に溺れ、彼がその声を使ってしまったら。
辛島くんも、警察も、皆それを恐れている。
だから、私は辛島くんの側にいよう。
彼が闇に沈むとき、その手をつかめるように。
辛島くんが、こちらの世界に留まってくれるのなら。
辛島くんが、闇を恐れずに済むのなら。
私は何だってできる。
辛島くんがいつか、その声を失っても。
その先もずっと、私は辛島くんの側にいたいのだから。










→アトガキ

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