「1番がサクラさんにブス・怪力・貧乳と連呼する」

ぴしりと固まるサクラ。口元が僅かにひくついている。

「ちょっと!後者も番号にしなさいよ!反則!!」
「番号って、どんな?」
「だから!!この番号よ!!」
「ああ。じゃあ1番が3番にブス・怪力・貧乳を連呼」
「……っ!!」

やられた…!!サクラは絶句した。その通り、3番は自分だ。どんなと言われて思わず自分の割り箸を見せてしまったがために起きた悲劇。
自慢の拳をかたく握りしめて戦闘準備完了。いつでも発動できる体勢でわなわなと震えている。
だが、悲劇はそれで終わりはしなかった。

「ブス、怪力、貧乳、ブス、怪力、貧乳」

はっきりと耳に響いた声。その声の主は

「おい、連呼ってどれ位だよ」
「…サ…サスケ君…」

平然と王様命令を実行する、サスケだった。サクラは震えながら彼を見つめるが、構えておいた拳は握りしめたまま発動せず。ただ二回、三回と繰り返される侮辱の言葉に耐えていた。
だが行き場のなくなった拳はふらりと宙を泳ぎ

「てんめぇこらサスケぇぇ!!サクラちゃんに向ってブスだ怪力だってふざけんじゃねえってばよー!!」
「くぅおらナルトぉおお!!」

豪快にナルトの頬へ直撃した。

「いっ……てぇぇえ!!ひでぇよサクラちゃん…っ!!」
「うるさい!!死ね!!きぃー!!」

派手に吹っ飛んだ先で涙目のナルト。だがサクラは奇声をあげてその胸倉を掴みあげる。そしてその背後では未だにあの三単語が繰り返されていた。

「おいおいこんな狭い所で暴れるなーサクラ」

だがそこは一応、教師。やる気なく本を片手に欠伸はかいていても、教え子の喧嘩(?)は止める。

「てゆうかこの場合はサスケを殴るべきなんじゃないですかね」
「いやいや…」

尤もな意見を述べるヤマトだが、カカシは極限的に目を細めて否定した。

「…ね、もういいんじゃない?王様。あれ位でさ」

何より、がすがすと容赦なく殴られるナルトが不憫で仕方ない。カカシはぽんとサイの肩に手を起き苦笑した。

「ああ、まぁそうですね。もういいですよサスケ君」

というわけで、自分で命令しておきながら心底どうでも良さそうな顔でサイは止めの一言をいれる。おかげで、ようやくサスケの暴言連呼も終わり、ゼーハー言いながらサクラの暴挙も終わりを迎えた。
そしてただ一人、ナルトだけが死の淵に立っていた。
だがとりあえずそれは誰もが完全無視。

「はい、じゃー仕切り直しなー」

とカカシの一言で見事にスルーされて新なる犠牲者を生むべきゲームが再開された。

「はいはいさっさと引いて〜」

相変わらず本を片手に割り箸をシャッフルするカカシ。どんと差し出されたそれを

「今度こそ王様になってやるんだから!!」

そうやって気合いたっぷりに引くサクラ。ヤマトも右に同じ。内心で王様王様と念じながら割り箸を引く。
いい加減やめようぜ的な溜め息をつきながら仕方なく参加するサスケを横目に、

「おーい、ナルトはー?」

カカシは平然と死にかけのナルトに声をかけた。いやいやここはひとます棄権…

「っだぁぁぁ!!やるってばよ!!」

なわけがない。復活したナルトは豪快に割り箸を引き抜いた。

「はい、じゃー……王様だーれだ」

再び吐き出されたその言葉。果たして次の勝者は誰なのか…一同が静まり返り自らの手の内を見下ろした。そして。

「まさかまたサイじゃないでしょうね!?」


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