うだる様な暑さとはまさにこのことかもしれない。比較的に夏場でも涼しいイギリスだが、ここ何日かは違っていた。寝苦しさに耐えきれず、私はごろごろとシーツの上を転がり続けていた。このままでは、また寝れずに朝まで起きている事になる。そうすると必然的に授業中に睡魔が襲ってきて、先生に罰則を言い渡されるのだ。私は私のために安眠場所へいかなくては。

以前シリウスに聞いたことがあった気がする。監督生になり個室を与えられた彼は、快適な生活を送っているとか。そんな彼の部屋なら、もしかしたら涼しいかもしれない。そう思った私は寝間着姿のままタオルケットと枕を持ってベッドから抜け出した。一刻も早くリーマスの部屋へ行くために。

薄暗い談話室を抜け、寝静まった男子寮の先に、リーマスの部屋はあった。ドアノブに手を伸ばすと不用心な事に鍵が空いていた。

「お邪魔しまーす」

「しないで下さい」

「ぎゃっ!リーマスなんでここに」

「やあ名前。ここ、僕の部屋なんだけど?」

扉を開けると、目の前にリーマスが立っていた。

「どうして…」

「これ」

忍びの地図を差し出された。これ悪戯にも便利だけど、校内巡回のときにも便利なんだよね。ってさすが監督生さま!

「名前みてたら部屋からでていったからどうしたのかと思ったら…何しにきたの」

「そうだ、目的を忘れてた!」

そそくさとリーマスのベッドに入りこんで、持参した枕に顔をうずめた。

「もう毎日毎日寝苦しくてさ。あーやっぱり思った通り涼しい!」

明らかに私の部屋とは温度が違ってひんやりしていた。天国ですかここは!皆、よくあんなに暑い部屋で寝れるよね。

「そりゃ冷却呪文使ってますから。リリーとかも自分のベッドにかけてるでしょ?」

と、リーマスが呆れ顔で言った。

「…盲点だった」

「わ、すごい馬鹿面」

「酷い」


そっか、その手があったのか。どおりで皆すやすや寝てるわけだ!だけどもう帰って冷却呪文かけて寝る元気はない。第一面倒くさいし、ここ数日の寝不足で体力も限界だった。

「ごめん明日からやるから今日は寝かせて」

「ちょっと名前、勘弁してよ」

「ちゃんと端っこで寝るから」

「名前はいいかもしれないけど、僕が眠れなくなっちゃうよ」

「なんで」

「だいたいそんな格好で。なに、夜這い?眠れなくするよ?」

「違いますーだって暑いんだもん…あーもうだめ限界」


すぐにうとうとしてしまってその後の言葉はよく覚えてないけど、諦めてベッドに入ってきたリーマスを、とりあえず抱き枕代わりにと抱きしめておいた。やばい寝心地がいいぞここ。
今度は手土産に冷たい飲み物でも持ってこようかな。そんな事を考えながら、私はすぐに眠りについた。



title by誰そ彼





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