「なんでこのくそ暑い中外いなきゃなんないんだ」

「リーマスがさっき小憎たらしい顔して帰ってったぞ」

「あークーラーのきいた部屋でぐだぐだしたい」

「名前のせいで…」

「はあ?元はといえばあんたが」

「お前が!」

「…………」

「もういいや疲れる。やめようぜ」

「…だね」

事の発端は2限目の授業。シリウスの野郎が私の後頭部に丸めたプリントをぶつけてきたものだから、やり返すつもりで消しゴムを思いっきり投げつけてやった。私の渾身の一撃はシリウスではなく、ちょうど教室内を回っていた先生にクリーンヒット。爆笑していたシリウスと、罰として2人でプールサイドの掃除を命じられてしまった。プールサイドって!水にすら触れられないじゃん!この真夏の炎天下に、プール掃除とか嫌がらせなのだろうか。確かに私達が悪いんだけどさ。明日から夏休みだというのに!

「だあああめんどくせえ!だあっとやって終わらせてアイスくいに行こうぜ」

シリウスがかっかるそうにブラシを放り投げて言った。

「きゃーなんて素敵なお誘い!」

どうしよう、ソーダアイスにしようかな。かき氷も捨てがたいな。ひんやりした氷を口に入れ溶かす感覚を想像する。やっぱり夏はアイスだよね。とりあえず、早く終わらせてシリウスにアイスをおごらせよう。と、ブラシで床をこすっていると隣でいそいそとシャツを脱ぎ始めるシリウスの姿が。

「ちょっとやめてよ何してんの」

「なあ…いいことしようぜ」「わっ私達友達でしょ」

「バレなきゃ大丈夫だって」

「そういう問題じゃ」

引っ張られる右手、揺らぐ視界、まさかこいつ。

「ダーイブ!」

どぼん

シリウスにプールに落とされた。というか引きずりこまれた。信じられない。制服がも髪の毛も何から何までびしょぬれになった。

「ちょっと!アイス食べにいけないじゃん!」

「いいじゃん乾かしてからいけば。ゆっくりいこうぜ」

「乾かないわボケ」

「じゃあアイスはまた今度な」

えーなんてごちっている私とは正反対に気持ちよさそうに水にたゆたうシリウス。


「はーつめてえ。」

「確かに冷たくて気持ちいいけど…」

「名前ブラ透けてる」

「シリウスのせいなんですけど」

上半身が見えないように、さりげなく肩まで水に入った。水にゆらゆらとゆれているシリウスの髪を見ていたら、急にぎゅっと手を握られた。

「あープール行きてえな」

「はいってるじゃん」

「そうじゃなくて、夏たくさん遊ぼうなってこと」

名前はどこ行きてえんだ、とか、急にこっち向くな馬鹿。冷たい水にいるはずなのに何だか急に顔が熱くなった。火照っているのは暑さのせいということにしておこう。うん。アイス食べたかったけど、まあいいか。私達の夏はまだ始まったばかりだもの。






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