※ちょっと注意



このくそ暑い中、図書室にこもって分厚い本を読もうなんて、この男はおかしいのかもしれない。廊下でスネイプを見かけたものだから、暇だったしついてきてみたらこれだ。いつもの様に図書室にきて、本棚で書物を探すスネイプを見ていたら、素朴な疑問が浮かんできた。

「暑くない?」

「暑い」

「スネイプって汗かかないの?」

「かく」

「うそ、あんまりかいてるイメージないけど」

そういってスネイプの手を握るとじんわりと汗が滲んできた。
「手汗すごいよ」

「…ほっとけ」

「ねえ、さっきから変だけどどうかしたの?」

そう言うと、スネイプの手が更に汗ばんだ。

「その…名字のYシャツから下着が透けてて、だな…」

落ち着かない。とまで言ったのだろうが尻すぼみにぼそぼそと喋っていたので上手く聞きとれなかった。何だそんな事で。夏服だからしょうがないじゃないか。
そんな事を言われたからか、だんだんと彼の白いYシャツから覗く肌に目がいってしまった。微かに汗ばんでいるのがなんだか少し、官能的だ。おもわず指先で襟口に触れると、スネイプが目を見開いた。

「別にとって食おうって訳じゃないの、ただ少しさわるだけ」

「頭おかしいんじゃないのか」

確かに暑さで頭がやられているかもしれない。けれども、そう、何故だかその白い肌に触れたくてたまらないのだ。防御服の様な冬服から、無防備な夏服姿にかわったせいだろうか。いつもは窮屈そうに締めているネクタイの姿がなかったので、少し首もとに違和感を感じた。2つ3つボタンを開けると、スネイプがすぐさま手で制してきた。

「…おい名字」

「はい」

「なに、をしているんだ馬鹿」

「いいから」

「何もよくない」

頑なに拒否する彼を気にもとめず、胸元をはだけさせると白い素肌が露わになった。いくらなんでも血色が悪すぎる。下手したら私より白いぞこいつ。なんて思いながら指先で首筋から鎖骨辺りにかけての血管をなぞる。どくどくと脈打つそれに酷く興奮した私は、そのまま勢いで鎖骨に噛みついてやった。

「いっ!お前、」

「ごめんつい」

お詫びのつもりでぺろりと鎖骨を舐めあげると、握り拳を作っていたスネイプの手が、私の頬にふれた。

「…名字…いいんだな」

腕を思いっきりつかまれ、本棚に押しつけられる。先程まで私が彼を本棚に追いやっていたのに、形勢逆転されてしまった。肩口に顔をうずめ、首すじを伝う汗を舐めとられた。というか私に覆い被さるスネイプの体温のせいで、なんだか酷く暑くなってきた。耳にかかる彼の吐息も、心なしか熱を帯びている。

「…だめだあつい!」

「おい。今さらそれはないだろ」

「あついもんはあついもん。無理」

「…お前は」

あー急に冷静になってきた。暑さって恐ろしい。ぐい、と押しのけたスネイプを見やると、白い肌に赤い歯形がくっきり残っていた。後で私のネクタイ貸してあげなきゃ、そう思いながら、もう一度だけ鎖骨に噛みついた。





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