授業が終わって教室を出るといつもの光景。あぁ私の見間違いならよかったのに、なんて。これが日常になっている事がまず間違いなんだけれど。
「やぁ名前!偶然だな」
今さっき授業が終わった教室の廊下を挟んで、反対側に奴はいた。壁にもたれかかっていたウィーズリー(どっちかは不明)が手をふっている。周りに女の子をはべらせながら。またか…そろそろ飽きてくれればいいのに…。私はそれを見なかった事にして颯爽と廊下を進んでいった。
「シカトだなんてたちが悪いぜ?」
するりと女の子の群れから抜け出たウィーズリーが壁に手をついて行く手を阻んだ。こんなことでも様になるのね、あぁもう憎たらしい。取り残された女の子達の視線がちくちくと刺さる。
「何か用かしらウィーズリー?」
「ウィーズリーだなんて他人行儀だなファーストネームで頼むよハニー」
腕を組んで不機嫌そうに彼を見上げると、私の髪をウィーズリーがすくいあげた。その手を思いっきりはらって、私はまた歩き出した。
「お断りします。それに私、どっちがどっちだかわからないもの」
「カッコよくて優しいのが俺フレッドで、残りのちょっと冴えない方がジョージさ」
そう言ってウィーズリーは口の端を持ち上げた。
「いかれポンチのプレイボーイがジョージじゃない方ね、OK。」
ここ最近、何故かウィーズリーにつきまとわれている。いたずらの一環としてちょっとからかっているだけだ、最初はそう思っていた。すぐに飽きてくれるだろうって。しかし彼の気まぐれは終わることなく続いていた。しかも日に日に度合いが増してきているのだからたまらない。たまには地味で目立たない女の子にちょっかいをだしてみたかったにしても私を選ぶなんて気が狂っているとしか思えなかった。こんなどこにでもいる平凡な女に。
「せっかく偶然会えたんだから一緒にランチでもどう?」
「偶然?待ち伏せのことを偶然とは言わないわ」
「待ち伏せ?そんな事はないさ運命だよ」
「馬鹿みたいにでかい図体してよく言うわ。教室から見えてたわよ赤毛のボサ頭が!」
「名前が僕をみてた?すごい!たいへんな進歩だ!」
「あんたは嫌味が通じないの…?」
もう嫌だ疲れた…といって嘆く私を横目で楽しそうに見つめるウィーズリー。あんたのせいで悩んでるのよ!大広間の扉をくぐれば、またもや嫉妬の目を向けられるのであった。
こんにちわさようならもう会うこともないでしょう
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