「またあいつ…違う女の子といたの…本当に天性のタラシだわ。下半身をちょんぎってやりたい。もう…本当に最低…地獄に落ちちゃえばいいのに。別に彼氏でも何でもないけど…違う女の子といるのを見ると胸が苦しいの。だって好きなんだもの」


う、ぐす…うぅ
しゃくりあげて泣いている名前の頬を両手で包んだ。涙で顔がぐしゃぐしゃだ。
目の前にいるのは俺なのに!名前はずっとフレッドの事を考えている。フレッドしか見えてないんだ。俺は名前が好きで名前はフレッドが好き。そりゃないぜ神様。人生ってこんなに上手くいかないものなのか?俺じゃ駄目なのか名前?だって姿形も声も同じで性格も似てるのに、俺と相棒に何の違いがあるっていうんだ?いや、そんなの自分が一番よくわかってるんだけど。こんなにお前になりたいと思った事はないよフレッド。名前に愛を向けられてるお前が死ぬほど羨ましい。それに気がつかないお前が死ぬほど腹立たしい。

「ごめんね…ジョージ」

そう言って泣いている目の前の彼女を、俺はどうやったら救ってやれるんだろうか。俺だったら泣かさないのに、不安にさせないのに、抱きしめて、愛してやるのに。
名前が泣いたって自由気ままなあいつが変わるわけもないのに名前が望んでるようにあいつが名前のものになる訳でもないのに

(嗚呼なんて愚かで可哀相な人なんだろう)
(だけど愛しい)

可能性がなくても悲しくても辛くてもそれでもきっと名前は泣き続けるんだ、あいつを想い続けて不毛な片思いを続けるんだ。それなら俺は名前の涙をぬぐい続ける。どんな形でも必要とされたい。依存されたい。あれ?不毛なのってもしかしたら俺の方?



優しい言葉をかけながら名前の頭を撫でてやる。本当は抱きしめたいけどさ。

大丈夫だいつか名前の気持ちに気づいてくれるよこんなに思ってくれてる奴いないぜ?まるで自分で自分を励ましているみたいでちょっと笑える。なぁ、俺はお前の鼻水だって愛せる自信があるぜ?だけど名前、泣き顔もいいけど早く笑ってくれよ。そろそろ笑顔を見せてくれないと、なんだか俺まで泣いちゃいそうだ。



(嗚呼なんて不毛な片思い)








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