静まり返った図書室、レポートに追われる追われる私、隣には黙々と本を読むレギュラス。なんとまぁ図書室にきてから一言も言葉を交わしてないです。こんな関係でも付き合っているって言うんでしょうか?いや、付き合ってるんですけど。これが当たり前なんですけれど。いつも態度が冷たいし、私に興味なさそうだし、滅多に相手されないし、からかわれるし…。今だって一緒にいると言うか図書室へ行くっていうレギュラスに勝手について行ってると言うか。
ねぇ、これって付き合ってるって言うのかしら?
「私もっとレギュラスと恋人っぽいことしたい!」
羽ペンを持ったまま握りこぶしを作って言った。言った。言ってやった!ちらりと顔を向けると、レギュラスは読んでいた本から顔をあげてにっこり優しい笑顔。わー嫌な予感!
「図書室で大きい声出さないでくれますか先輩?さっきからチラチラ見られてるだけでも読書の邪魔なのに雑音だされるなんてたまったもんじゃないんですけど…」
はいごめんなさい。ですよねー。喋って…いや音だしてごめんなさい!まったく。そう言うとレギュラスはパタンと本を閉じた。あれ、珍しく話を聞いてくれるみたい。「まったく」の前についていた大きなため息はこの際シカトしておくとこにした。
「例えば?」
「えっと…例えば…」
「一緒にいたり」
「今、いてあげてるじゃないですか」
こんな高圧的な態度をとられても付き合っているって言うんでしょうか?いや、付き合ってるんですけど。これが当たり前なんですけれど。あれこれ二回目?とにかくレギュラス様付き合って下さって本当にありがとうございます。
「余計な事考えないで早く答える」
「ごめんなさい…えっと、ホグズミードに行ったり」
「まぁ、気が向いたときには行ってますよね?後は?」
「後は…」
「勉強みてもらったり、食事を一緒にとったり?名前先輩のしたい事全部叶えてあげてますよ。僕ってなんていい彼氏なんでしょうね?」
後は?したいことないんですか?そう言って私を見つめてくるレギュラス。自分から言い出したことなのになんだか急に恥ずかしくなってきてしまった。
「…手を…繋いだりとか?」
と聞こえるか聞こえないか位の大きさで言うのが精一杯だった。だってなんかレギュラスの聞き方いやらしいんだもの。何て考えているとレギュラスが机の下でもじもじとしていた私の手をとってするりと指を絡めてきた。突然のことにびくりと肩が跳ねてしまった。さっきまで手持ち無沙汰にしていた手に急に意識が集中してしまう。
「先輩手汗酷いですね」
「ほっといてよ!」
たじろぐ私を見て呆れるレギュラス。いや、確かに他にも色々することあるけど物事には順序ってものが有るし手だって今始めて繋いだし、むしろ手繋ぐだけでいっぱいいっぱいだし。というかなんでこいつこんな余裕なの?もしかして私またからかわれてる?
「で、次は?」
「つっつぎ…?まだあるの?」
「僕的には名前先輩とキスしたりそれ以上の事をしたいと思っているんですけど?」
名前先輩は?なんてわざとらしく首を傾げるレギュラス。恥ずかしげもなくこの人は…! 何が面白いのかとても意地悪そうに笑っている。
「ブ・・・ブラックってたらしの家系なの…?」
レギュラスが鼻で笑った。
「まさか。あんなのと同じにしないで下さいそれに別にたらしじゃないでしょう。僕は今質問しているだけです。名前先輩がしたいかしたくないか返事を聞いてないですよ?」
「し…したいです」
「何を?」
「わー意地悪だ!」
えぇまぁなんて言って繋いでいた私の手の甲にキスをした。普段は冷たいくせに私をからかう時だけ積極的になるのやめて欲しい…。
「えっと…キ…」
言い終わるか終わらないかの所でレギュラスにキスされた。ここ図書室なんですけど!なんて事も言えずただ顔を真っ赤にする私。僕のテリトリーにいれてあげてる人間なんて名前先輩くらいですよ?少し考えたらわかるでしょう?と言って何もなかったかのように本を開く優等生面のレギュラス。
「わかんないわよ!」
真っ赤になってうろたえている私をちらりと見て、レギュラスが唇の端を少しあげた。 やっぱりまたからかわれた悔しい!レギュラスの馬鹿!もう嫌だ!なんて思いながら私は繋がれたままの左手を離さなかった。
多分この先もずっと。
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