談話室でいつものように柔らかなソファーに沈み込んで、ゆらゆらと揺れる暖かな暖炉の炎を見つめていた。手元にあった包み紙を開き、チョコレートを口にいれゆっくりと味わう。舌の上でほろほろとなくなって、とろけるような甘さとにおいが後にのこった。すでにいくつかの包み紙が膝に散乱している。僕が最近気にいっているチョコレートの物だ。ジェームズ達と馬鹿やってるのもいいけどこんな風に落ちついてすごしているのもなかなかいいと思った。甘いチョコレートをかみしめながら、あぁ幸せだなぁ。なんて思っていると名前が隣にちょこんと座った。

「やぁ名前。今日はシリウス達とフィルチにクソ爆弾をしかけにいくって言って
なかった?」

「うん。でもジェームズがリリーを見つけてどっか行っちゃたから中止なの。」

二人だけでもやればよかったのになんて残念そう(口を尖らせてるのが可愛い)に言う彼女には悪いけど、それはよかった。シリウスと二人なんてたまったもんじゃない。あんな煩悩まみれの男と僕の名前が二人っきりなんて想像しただけも口がすべって磔の呪文を唱えてしまいそうだ。
僕の周りに散らかっているチョコレートの包み紙を見て、名前は何かを思い出したかのように僕を見上げた。

「何?名前も食べたいの?」

そう言ってチョコレートに伸ばした僕の手を名前がつかんだ。

「ううん。違うの」

名前は僕の指をしばらく見つめていたと思ったらつかんでいた左手をそのまま自分の口にはこんだ。一瞬何が起きたのかわからなかったけれど、どうやら名前が僕の指を舐めているらしい。舌の暖かな感覚とぬるっとした指触りに勝手に肩が跳ねてしまった。慌てて指を引き抜こうと動かすと名前がん…とくぐもった声をだした勘弁してくれ。何だ急にっていうかエロいなんなのこれ意外と気持ちいいし…なんだかクセになりそうもう少しこのままってそうじゃなくて。

「…名前?何しているの?」

変だとは思いながらも指は引き抜かずに(たまには欲望に忠実でも罰は当たらないはず)彼女にたずねた。

「…舐めた」

いやそれはわかるけど、あぁ指抜いちゃった。僕の指が名前の唾液で濡れていて何だかとてもいやらしく感じた。

「それは見ていたらわかるけど、どうしてまた急に」

「シリウスが甘いって言ってたから。」

「は?」

「シリウスがね、女の子といちゃいちゃしてるのこの間偶然見ちゃって…そのときに言ってたの。…女の子のこと舐めながら。」

思わず笑顔が引きつった。大丈夫?僕今ちゃんと笑えてる?なんてもの見せてくれてんだとかあいつ最中にそんなこというのかよ気持ち悪いとか名前は何しれっと級友の濡れ場見たこと話しちゃってんのとか色々思ったけどとりあえずシリウス後で殺す。

「でも試しに自分の指を舐めても甘くなかったのよ、それで、シリウスに聞いてみたの。
最初はシリウスが嘘ついてるんじゃないかって思ったんだけど…シリウスがリーマスは甘いかもよって言ってて…試してみろって」

前言撤回あいつ今すぐぶっ殺す。

「なるほどね…」

僕はなるべく落ちついているように振る舞った。一連の流れに内心焦っていたけれど。

「名前、多分それは…シリウスの心遣いだよ。」

名前はよく理解出来ないという顔をしていた。ここでこんな話をするのもどうかと思うけど…最中の雰囲気を盛り上げたかったんじゃないかな彼女達の心も身体も気持ちよくさせてあげたかったんだよシリウスがそんな心配りが出来るなんて予想外だけど。ヤることやって終わりなイメージない?大体どの女の子にもあまり興味がないから淡白そうだし。とやや早口で彼女に説明をしてあげた。あぁ気持ち悪いなんで僕が最中のシリウスの気持ちを想像して弁解してあげなきゃいけないんだ本当にもう吐きそう。

「じゃあ本当は甘くないってこと?」

「うんそうだね」

「そっか…」

よかった納得してくれたみたい。

「シリウスの嘘つき…でもリーマスはやっぱり甘そうだよ」

甘いにおいがするし。そう言って名前が顔を寄せ、首筋あたりでくん鼻を鳴らした。そういえば。

「僕は甘かった?」

まぁそんな訳ないんだろうけど。

「う〜んよくわからなかったからもう一回舐めさせて」

誰もいないと言えども談話室だ。おまけに僕は監督生。ジェームズ達に見つかったらなんて言われるか。なんて色々考えたけれども秤にかけたらやはりさっきの小さな快感の方が勝ってしまったので、

「いいよ」

と彼女の目の前に指を差し出しすと名前は顔を近づけて指をくわえた。中指、人差し指ときた所で名前が唇を離した。

「やっぱり甘いよ!」

「嘘だ」

「本当よ、チョコの味がする」

さっきまでチョコレートを食べていた事を思い出した。指にチョコでもついてたのかな。なんて思いながらチョコの包み紙を眺めていたらふいに名前に口づけられた。こっちはもっと甘いね、本物のチョコみたい。なんて笑う名前に今度は僕から口づけた。甘い甘いチョコレートのにおいにくらっとした。さっきは馬鹿にしてたけどシリウス、女の子って甘いみたいだ。











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