夕食をとって大広間をでると、廊下でエバンズに会った。軽く会釈をすると、にやにやしながら「名前なら図書室にいるわよ」なんて聞いてもいないのに答えてきた。どうしてあいつはいつも面白そうなものを見る目で僕を見るんだ。まあ、別にこれといってやることもないし、今日は名字の顔を1回も見てなかった気がしたので、そのまま図書室に向かうことにした。来週のレポートの確認もしたいしな。うん。

図書室に入ると、一番奥の机に名字の姿が見えた。かじりつくように本を見ている。というか、睨みつけている。珍しく真面目に勉強しているらしい。

「珍しいこともあるんだな」

と言って名字の正面に腰掛けると、本から顔をあげた名字に睨まれた。座っただけなのに僕が何したって言うんだ。

「これやらないと成績がまずいの!明日までなの!スネイプの馬鹿!」

「自業自得だろう。僕に当たるな」

「まあね」

でも本当に時間ないから喋ってらんない。と言って名字は本に向き直った。なんだ、なんだか面白くない。胸の当たりがむかむかしてきた。いつもは散々人の邪魔をしてくるくせに(課題をやっている時に話しかけてきたり、本を読んでる時に隣に座ってきたり。毎回気になって集中出来ない)自分の時は喋っていられないだと。自分勝手な奴だ。

「なぁ」

「…………」

名字は返事もしない上に顔も上げない。

「おい」

「………………」

こうも黙々と作業をされてはつまらない。喋りかけても小突いてみても反応を示さないし、まるで僕がここにいないみたいじゃないか。腹たつな。この野郎。あまりにもこちらに興味を示さないものだから、ペンを奪い取って羊皮紙に"好きだ"とでかでかと書いてやった。それを見た名字はまるでソノーラスをかけたかのような大声をあげて、本と一緒にイスからころげおちた。ざまあみろばーか。名字が課題ばっか見てるからだ。顔赤いとか言われたけど、お前に言われたくない。振り向かせたはいいけど、この後はどうしようか。とりあえずこちらに向かってくるマダム・ピンスを切り抜けてからにしよう。そう考えながらイスから落ちたままの名字に手を差しだしてやった。



















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