21:32 甘い匂いがする
自分が嫌だと思ったものにほどほどに接することができるほど大人じゃなかった。兄妹よりも交友的だったので沢山の知り合いはいたけれど兄妹よりも嫌われてもいた。理想と現実の差を埋められなくて、暴れていた。そんな私を好いてくれるひともいれば、恨む人もいた。少しずつ成長していくにつれて折り合いがつくようになり、嫌いを苦手という部類に置き換えさばさばした性格も顕著になった。嫌われもせず、好かれもせず。自分から入って行く時も気が乗った時だけで今ではおよそ2.3割程度になった。成長したのだろうか。退化したのだろうか。およそ歳を重ね大人になるにつれて私はどうなってきたのか。子供の頃の無茶も、夢も、背が伸びるにつれて、歳を重ねるにつれて、しなくなり、見なくなった。あの想像力は何処へやら。私が歳を重ねて学んだことは少しの学力と折り合いをつけること、現実的な可能性を判断することくらいだ。狭くなる視野に哀しくなる。空を見上げていたあの頃とはもう違う。いつの間にしたばかりを見るようになったのか。いつの間に世間体を気にするようになったのか。哀しと雖も戻ることはできないのだから、良い方向に行けばいいのに。子供から大人へは本当に"成長"なのか。"大人は何かを忘れてしまっている。"よく聞いてきた言葉。よく目にした言葉。

私は何を忘れてきたのだろう。
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