印象ってどんな印象なんだろう。
イジメをされていたから?

…正直、その頃の自分を知っている人には会いたくない。

「…なんの用ですか…?」

寒さと悲しい気持ちとが混ざり、少し涙が溜まった目で木村君を見上げる。
その表情がどう伝わったのか…木村君は一瞬悲しい顔をして私から視線を逸らした。


「印象…っていうか………ったからかな…」

「え?」


木村君が喋り出すと同時に強い風が吹き、言葉を遮った。

「ううん、なんでもない……こんな所で何してるの?」

頭を左右に振り、更にマフラーに顔を埋めた木村君。
…心なしか、見える頬がさっきより真っ赤になっている気がした。

「んー…特に何も…だって友達いないし」

ちょっと冗談交じりにニカッと笑う。
木村君に言うことではないから…昔の事なんて。

「ならさ……」

………?なんだろう。
ボソッとは聞こえたが、何を言ったかはわからない。

「もう一回、言って?」

寒さで悴んだ人差し指を立て、顔の前へ持って行き言う。
指は冷え切ったのか、色を失っている。 


「…なら、俺の家においでよ」




もし世界が…
木村君は真っ赤な顔をして色を失った私の指を、優しく包んだ


→あとがき



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