印象ってどんな印象なんだろう。 イジメをされていたから? …正直、その頃の自分を知っている人には会いたくない。 「…なんの用ですか…?」 寒さと悲しい気持ちとが混ざり、少し涙が溜まった目で木村君を見上げる。 その表情がどう伝わったのか…木村君は一瞬悲しい顔をして私から視線を逸らした。 「印象…っていうか………ったからかな…」 「え?」 木村君が喋り出すと同時に強い風が吹き、言葉を遮った。 「ううん、なんでもない……こんな所で何してるの?」 頭を左右に振り、更にマフラーに顔を埋めた木村君。 …心なしか、見える頬がさっきより真っ赤になっている気がした。 「んー…特に何も…だって友達いないし」 ちょっと冗談交じりにニカッと笑う。 木村君に言うことではないから…昔の事なんて。 「ならさ……」 ………?なんだろう。 ボソッとは聞こえたが、何を言ったかはわからない。 「もう一回、言って?」 寒さで悴んだ人差し指を立て、顔の前へ持って行き言う。 指は冷え切ったのか、色を失っている。 「…なら、俺の家においでよ」 もし世界が… 木村君は真っ赤な顔をして色を失った私の指を、優しく包んだ →あとがき [*前] | [次#] P.30 |