「クリスマスなんて…」

クリスマスというか、冬という冬に見事に嫌なことが重なっている。
私がこう思う理由、少しはわかってもらえただろうか…?


毎年、思う事がある。


――…もし、世界が一切の悲しみのない国だったら

クリスマスは、いい。
でも、悲しいのは嫌。


「……あんな…?」


誰もいない、雪が積もる一方の公園にただ一人。
キコキコとブランコに乗る私に話しかけたのは、ある男の人。

長身で短髪。
モコモコのジャンパーに白いマフラーを首にグルグル巻き。
それでも寒いのか鼻や頬、出ている肌というところが全て赤い。

…というか…
なんでこの人、私の名前を知っているのだろう。

「だれ…?」

口を開いた途端、冷たい空気が口の中に入った。


「俺…中学一緒だった木村だけど…」


相手も同じなのか、口を開いたと同時に閉じ、マフラーに顔を埋めしゃべる。

木村…
あー…あの大人しい男の子…

でも、なんで?
中学の時は、おばに引き取られ散々な生活をしていたのに。

…友達なんていなかったのに


「名前…なんで覚えてるの…?」

「…さー…?印象強かったからかな?」


――印象強い

目が熱い…


 

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