「クリスマスなんて…」 クリスマスというか、冬という冬に見事に嫌なことが重なっている。 私がこう思う理由、少しはわかってもらえただろうか…? 毎年、思う事がある。 ――…もし、世界が一切の悲しみのない国だったら クリスマスは、いい。 でも、悲しいのは嫌。 「……あんな…?」 誰もいない、雪が積もる一方の公園にただ一人。 キコキコとブランコに乗る私に話しかけたのは、ある男の人。 長身で短髪。 モコモコのジャンパーに白いマフラーを首にグルグル巻き。 それでも寒いのか鼻や頬、出ている肌というところが全て赤い。 …というか… なんでこの人、私の名前を知っているのだろう。 「だれ…?」 口を開いた途端、冷たい空気が口の中に入った。 「俺…中学一緒だった木村だけど…」 相手も同じなのか、口を開いたと同時に閉じ、マフラーに顔を埋めしゃべる。 木村… あー…あの大人しい男の子… でも、なんで? 中学の時は、おばに引き取られ散々な生活をしていたのに。 …友達なんていなかったのに 「名前…なんで覚えてるの…?」 「…さー…?印象強かったからかな?」 ――印象強い 目が熱い… [*前] | [次#] P.30 |