「だーかーら!あさちょっともとにもどったっていってるでしょー!」

「女の子が食事中大声出しちゃ駄目だ、ぐかーっ」

「ねるのはいいのかよ!」


サラダに顔を突っ込んだエースにびしっとツッコミを入れる。それを見ていた周りのクルーがドッと笑った。ちくしょうちくしょうちくしょう、どいつもこいつも馬鹿にして信じてくれない。目の前にあったトマトにフォークをぶっ刺した。

朝の出来事は、夢じゃなかった。だってワンピースはビリビリだったもん(今は新しいワンピースを着ている)あたしの身体が大人になった証拠だ。それにあたしが大人になった瞬間をマルコさんは目撃してる。だからマルコさんからみんなに話して貰いたいんだけどマルコさんの姿が見えない。ちなみにエースはずっと眠っていたからあたしが大人になったことを知らず、その上あたしが夢を見たと思ってるのだ。あたしのことを信じない奴が兄貴を語るんじゃねー!にしてもマルコさんは何処行ったんだろう。朝ご飯の時間だから絶対ここに来る筈なのに。起きたエースから口の周りを拭かれる。昨日のパーティーで知ったんだけどなんでエースは食事中に眠っちゃうんだろう。


「大人になる夢か。なまえは美人だったろうなァ」

「ゆめじゃないもん…でもあたしはびじんだからな!」

「そうかそうか。ハハハ将来が楽しみだ」

「はははじゃねーよ!ほんとだから!おとなになったのもびじんなのもまじだから!」


ムキャーむかつく!お前なんかあたしの色気でイチコロなんだからな!ぶっ刺したトマトを口に突っ込む。口の周りがトマトの汁でべたべたになってエースに拭かれた。…むかつくけどこいつ面倒見がいいな。兄貴ぶるだけあるわ。エースはよしよしとあたしの頭を撫でた。


「ほんとなんだから」

「解ってるって」

「ほんとにぼんきゅっぼーんのおねえさんなんだから!」

「ぼんきゅっぼーん、ではなかったよい」


不意に聞こえた声に目を丸くする。顔を上げればエースの肩越しからマルコさんが顔を出した。おおお救世主!あたしが手を伸ばしてマルコさんに飛び付こうとしたらエースに危ないと抱き締められた。あたしのこと信じないくせになんだよ馬鹿!しかもマルコさん今何て言った?ぼんきゅっぼーんではなかった?マルコさんを見上げたら無表情だった。…どうせ貧相な身体してますよ。マルコさんの台詞に反応したサッチさんがケラケラ笑う。


「何言ってんだよマルコ。なまえの夢の話を信じるのか?」

「夢じゃねェから信じるんだよい。おれは見た」

「見たって何を」

「全裸で大人になってたなまえを」

「全裸で!?」

「そのくだりいらないよ!」


なんで説明するワードに『全裸』を選んじゃったんだよマルコさん。サッチさんがすごくびっくりしてるじゃん。マルコさんの全裸発言に周りのクルー達がざわざわと反応する。男だらけだから仕方ないのかな。でも毎日それこそぼんきゅっぼーんのナースを見てるだろうに。ちなみにエースは一心不乱に食べ物を口に掻っ込んでいた。あたしが全裸だろうがナンだろうが気にしないらしい。


「そのことを親父に話に行ってたんだよい。なまえ、飯食ったら親父ンとこ行け」

「え。お、おこられる?ふねおりろっていわれる?」

「言われねェから行け。おれも行くから安心しろい」

「じゃあいまいってもいいですか?」

「あぁ、構わねェよい」


エースの膝から飛び降りてマルコさんに近付く。ご飯はもう食べたからすぐ行きたかった。親父を待たせるのは失礼だからね。食堂を出て行くマルコさんについて行った。親父はあたしに何を話すつもりなんだろう?


「…マルコ、マジなのかな」

「隊長が親父に嘘の報告はしないだろ」

「じゃあなまえはホントに大人なのか?」

「ハハハ、おめェら何言ってんだよ。なまえはガキだぜ?」

「…エースとマルコ、どっち信じる?」

「マルコ」

「俺も」

「エースは馬鹿だからな」


あたしがいなくなった食堂でそんな会話があったなんて、あたしは知らないのである。

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