なんだか人の話し声がうるさくて目を覚ました。誰だよあたしの部屋でトーク噛ましてるのは。お母さんにしてはなんか若いし、兄ちゃんにしては野太い。重たい瞼をこすったらきゃあ可愛い!と甲高い声が耳を突いた。…きゃあ?なんで?てゆうか今の声って誰?お母さん?いやいやいやいや、お母さんキャアって齢じゃないでしょ。びっくりして目を開ける。するともんのすごい美女が数人、あたしを覗き込んでいた。金髪だったり目が碧だったりボインだったり、とにかく美女だった。なんだこれ、びっくりし過ぎて声が出ない。誰この人達。頭にアレだ、あの、ナースが被るやつ被ってる。でもなんであたしの部屋にナースがいるの。


「あら、起きちゃった。うるさかったかしら」

「でも泣かないのね。お利口だわ」

「エース隊長、目を覚ましましたよ」

「お、やっとか!」


美女を掻き分けて男の人が現れた。エースたいちょう、さん?隊長ってのがよく解らない。エース院長とかじゃなくて?てゆうかエースって、変わった名前。外人さんかな。覗かせた顔にはそばかすがあって人懐っこい印象を感じさせる。黒い髪には緩いウェーブがかかっていた。…いや、てゆうかここあたしの部屋だし。ナースだろうがエースだろうが居るのは可笑しいし。お母さんの知り合い…ではないな。みんな若いから。じゃあ何?誰?意味わからん。起き上がろうとしたら何故だか少し身体が重たかった。


「喋れるか?名前は?」

「…てゆうか、…」

「はは、お前そんな言葉知ってるのか」


エースがけらけら笑うのを無視した。あたし今、喋ったよね?今の声ってあたしの声だよね?でも嘘だ、そんな。あたしは恐る恐る両手を自分の目の前に持って来た。

むっくりした、むちむちした手。爪が申し訳程度にちんまり生えている。そのまま自分の頬に触るともちもちとした弾力が返ってきた。

あたしは慌てて跳ね起きた。周りの美女がまあとかナンとか言ってたけど知らない、知るかそんなん!自分の身体を見下ろす。あたしは寝巻きの黒いスエットを着ていたはずなのに真っ白のワンピースを着ていた。いや、今突っ込むべきところはそこじゃない。ワンピースをめくる。手と同じで、むちむちした足があった。


「…な、ななななな…っ」

「どうしたんだよ?」


ん?と首を傾けるエースの顔はだいぶ上にある。身体を起こしてるのに座ってるエースとこの距離だなんて。可笑しい、可笑し過ぎる。なんで、どうして。これは一体なんのドッキリなの。なんのサプライズなの。な、なんなのこれエエエエ!


「なんであたしちっちゃくなってんのおおおお!?」


あたしの叫び声にエースはけらけら笑ってぽんぽんと頭を撫でた。いやつうかお前ら誰だよ!

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