「あ゙ーあたまいでぇ…。」


昨日日付が変わろうと長谷川や桂、お登勢らと飲み続けたお陰で、昼まで寝続けた銀時は二日酔いの頭の痛さで目を覚ました。


「おはよーアル銀ちゃん!
もうみんなとっくに起きて帰ったネ。
銀ちゃんだけアル!
こんな時間まで寝てたの。」


目を覚ますとすぐに高い声が頭に響き、銀時はまたも苦々しく唸った。


「うるせーよ…新八はどーした?」


いつもだったらいるだろう万事屋メンバーのツッコミは見当たらない。


「新八も飲まされたから起きたら銀ちゃんとおんなじだったネ。
だから今日は家で休むって言ってたアル。」


素直に少し声のボリュームを落とした神楽に、銀時は小さく笑みを溢す。


「で、お前はなんですぐ横にいたんだ?」


ビクリ肩を震わせた神楽に思わず吹き出しそうになった。


「た、たまたまヨ!
銀ちゃんのクルクルの髪の毛見てたら鉛筆でもっとクルクルにしてピン子やサブちゃんみたいにしようと思っただけネ!」

「イヤイヤ何とんでもねーことしようとしてくれちゃってんのお前。」

顔をしかめて頭に手をあててみるが、どうやら杞憂であった。


「じゃあ、昨日のあれは何?」


またビクリと揺れる肩。いい加減解りやすすぎて抱きしめたくなる。


(カワイイんですけどコノヤロー。)


「な、なんのことアルか?」


白々しく視線をあらぬ方へと泳がす。あくまでもしらばっくれるつもりらしい彼女に、銀時は小さく溜め息をついてその白い顎を掴んだ。


「あれ?もしかしてあれは俺の妄想?
嬉しかったんだけどなー?」


肩を竦めて少し残念そうな身振りをすると、驚いたように見開かれた青い瞳がこちらを見上げた。


「マジでか、銀ちゃん!?
嬉しかったアルか!??」


頬を上気させながら素直すぎるぐらい真っ直ぐに聞いてきた神楽に、銀時はとうとうたまらずに吹き出した。



「な、なんで笑うアル;!?」
「お前それやったこと覚えてますって自白してるようなもんだろ?」


するとみるみる白い肌は耳まで真っ赤に染め上がった。


「なっ;!!///
このクソ天パ、騙したアルか;!?///」


顎を掴まれたままの神楽がジタバタと暴れだす。あたる拳は夜兎なだけあってかなり重い。


「いでっ;!!
誰が騙したって言ったよ?
嬉しいのは本当だ。」
「え」

ピタリと暴れる腕が動きを止めたのでその隙に彼女の身体を捕らえた。


「ぎっ」
「つまり…期待していいんだな?」


真剣に見下ろしてくる目に、神楽はコクンと小さく頷いた。

「パピーにチューすんのと同列じゃないな?」


これにもまた頷いた。
「銀ちゃんだからヨ。
…パピーになんてしないヨ。」


クサイから…と呟いた神楽に苦笑してその小さな身体を抱きしめた。


「じゃあ…俺も神楽だからするんだからな。」


「え?」


チュ


軽い音が沈黙の降りた銀時の寝室に控え目に響く。

あとに残るのは赤く染まった白ウサギと
幸せそうにその白ウサギを二度寝へと誘う二日酔いの男。


今日の仕事は休業につき。



おわり




おめでと銀さん

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