「ただいまー!」


20時、それはなまえちゃんの帰ってくる時間。いつも通りのはずなのに、俺はおかえり!と玄関まで迎えに行かずに、ただ、じっと真っ暗な部屋のソファーの上で、彼女がこちらにくるのを待つだけ。ぱたぱたと短い廊下を歩く足音がこちらへと近づいてくる。

「……おそ松くん、いないの?」

ぱちりと電気をつける音がして、ようやくなまえちゃんは俺のことを見つけた。
なにしてるの?って、若干引き気味な彼女。そりゃ、そうなりますよね。
いやいや、それよりもこうみえて俺は激おこなんです!めっちゃ怒ってるんです!おねがい、察して!



「…あのさ、なまえちゃん、俺に隠してることなーい?」

「え、別にないよ?」

今日は焼きそばだよ。今から作るねと、何食わぬ顔で台所に向かおうとする彼女の腕を勢いよく掴んだ。隣では猫がハラハラしながら俺たちを見守ってる。

「どうしたの?」と俺の異変にようやく気付いた彼女の声を無視して、ずんずんと寝室へと向かい、ぱしんっと勢いよく扉を閉めた。
ここからは一松の邪魔もいらない。
なまえちゃんのことを心配してか、ガリガリと扉
に爪を立てる音、にゃあにゃあと鳴く声もするけど、気にしない。

突き落とすかのように、彼女の身体をベットに投げれば、きゃあと可愛い悲鳴がこぼれた。
馬乗りになって、服を脱がせようとすれば俺に抱かれるのが嫌だって君はいう。は、なにそれ。
わからないなら身体に教え込むのみだから、構わずに口を塞いだ。キスはしてたけども、ディープなのは久しぶり。相変わらず柔らかい唇を何度もなんどもしゃぶりとって、奥へ逃げようとする舌を無理やり絡ませた。短い息継ぎで、精一杯はぁはぁと酸素を取り込む彼女が、俺を見上げてる。えっろい顔して。

もーさー、なんで、なんでなの?なんでそんなに冷たいの?俺のこと嫌いになっちゃったの?ねえ、なんで、俺はなまえちゃんのこと死ぬほど好きなのに。きっと一生すきなままだし。俺、なまえちゃんと離れてられるの半日が限界だっていったことあるよね?できれば片時も離れたくないし、本当は帰ってこれるなら1秒でも早く帰ってきてほしいのに。

あーまじで泣きそう。




「…ねえ、なんでさスポーツジムなんて行ってるの?それ以上可愛くなってどうすんの?なんで、ねえ、他に好きな男でもできた?もしかして、あのマッチョなトレーナーのお兄さん?ねえ、俺じゃダメ?なまえちゃんのためならこのビール腹なんとかするし…」


「は?」


消え入りそうな声で呟いたそれに、一瞬にして彼女の表情は般若のごとく色を変えた。喧嘩はしたことあるけど、いつもなまえちゃんは大人な対応をしてくれる。今回は様子がおかしいのは馬鹿な俺でもわかる。


「ちょっと待って、拗ねてる理由ってそれ!?そもそも、おそ松くんが酔っ払ってるからと言えども、マシュマロボディだの、太っただの馬鹿にしてきたからでしょ!?私がなんのために努力してると思ってるの!?」

「はぁ!?俺そんなこと言ってないし!確かに前よりふっくらしたけど、そんななまえちゃんも世界一好きだからね?!」

「ほら、デブっていった!」

「だから、言ってないよ!ちょっと落ち着いて!??」

やかましい言い合いが始まり、寝室に入れてもらえなかった猫はため息をついて、くだらない騒ぎに巻き込まれたくない…そう思った一松はソファーの上で丸くなり、そのまま眠ることにした。


ちょっと、え、こんな顔のなまえちゃん、生まれて初めて見るんだけど、ちびりそう。え、なんでこんなにキレてんの?酔った勢いでなにを言ったの過去の俺は?全く記憶にないんだけど。意味わからない、どうしよう。

あ、でも、もしかして、


「…じゃあ、俺のためにしてくれてたってこと?」

「他に誰かいるの?」

「いや、いて欲しくない!やだ!浮気許さないし、させないっ!」

もぎゅって彼女に思いっきり抱きつく。確かに出会った頃よりふくよかになったと思うけど、きっと仕事のストレスのせいだし、でもでも、おっぱいも比例して大きくなってるじゃん!?だって、ヤッてる時のなまえちゃんのおっぱいの揺れ具合やばいからね?興奮するからね!?まあ、体型についてはこれ以上怖くて口出ししませんけど!?

俺のためだと知った途端、口許がにやけて仕方ないのは、俺がそれだけなまえちゃんを溺愛してるって証拠なんですよ。ねえ、ちゃんと伝わってる?



「…努力してくれるのは嬉しいんだけどさ、その時間の分も俺はなまえちゃんのそばにいたいんだけど、」


それでも行きたいって言い出すことは目に見えてた。彼女が意外と一度決めたら曲げない頑固なのは、一松を飼うときでよくわかってるし。
それに、俺はしょうがないなぁで全部許しちゃうんだよはぁ。だって、大好きだから!

耳たぶを甘噛みすれば、ぴくりと彼女身体が跳ねた。そのまま、「このまま、したい。」って囁けば、しょうがないなぁいいよって返ってきた。

そんでもって、彼女も俺には甘いんだよな。

あーもうむり、チンコ限界。もう挿れたい。


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