「誰か救急車呼んでー!」


騒がしい声が聞こえるけど、なんか身体は痛くて動かないし、眠くなってきたから、このまま寝ちゃおうかな。













…可愛い可愛いなまえちゃんの笑顔が頭から離れない。思い出せば、にやにやしちゃう俺ってばやばくない!?まあ、ベタ惚れだからさーしょうがないよねー。

来週の日曜日はどうしようか。どこ行こうかな。初めて行ったあの居酒屋にしようかな、それとも、映画に行ってからのおしゃれなレストランでディナーなんてもありだな。あ、待って、俺そんなに金ないや。まさか、なまえちゃんに出させるとか格好悪いことできないし、やっぱり、居酒屋が無難かな。
でも、そうなるとどうやってきりだそうかな、酒の力に頼る?でもでも、できれば、素面の状態で真剣な顔で君が好きだと伝えたいんだよなー。うーん。

あーアルバイト、またやらないとやばいよなってか、チョロ松見習って就活するべきか。
そしたら、もっとなまえちゃんのためにできること増えるし。
ニートだと時間がありすぎるからこそ、余計なこと考えちゃって、結果今回の騒動に繋がっちゃったしね。俺にも大人の余裕がそろそろ必要なわけで、なまえちゃんは年下の彼女だから、俺がぐいぐい引っ張ってあげなきゃだし。


だって、今、目の前のことだけじゃなくて将来設計も俺の中では始まってる。気が早いって?そんなことないでしょ!まずは同棲したいよね。なまえちゃんとできる限り一緒に過ごしたい。
そんで、ゆくゆくは結婚だってしたいし、俺らのマイホーム建てたいし、子供だって欲しいし、歳とってもずっとずーっと一緒にいたいし。まあ全部定職という条件が大前提なわけで、もうさ、誰か俺に職をくださーい!なんでもしますから!

君がいないと叶わない夢ばかりで、俺は君に出会った瞬間から、人生の核軸は君の存在になったんだよ。


俺が初めて嘘をついたときの、君の泣き顔も頭から離れない。もうそんな顔させない、そう誓ったはずなのに、なんでまた君は泣いてるのかな。
はっきりとは見えないけども、君のすすり泣く声が聞こえる。



泣かないで、俺面白いことたくさんいうから、デリバリーコントでも、一発ギャグでもなんでもやるから!

だから、泣かないで、君はずっと俺のそばで笑っていてよ。







「…おそ松くん、」




気がつけば、真っ暗の中に一人取り残された俺。
「おそ松くん!」って、君は必死に俺の名前を何度も何度も呼んでいた。