カラ松くんとひたすら飲んだ。
なにを話していたかとか、あまり記憶にはないけども、楽しく飲み明かした。
お酒を飲めるようになってから、たまにお酒に飲まれてしまいたくなるの。カラ松くんに言われた通り、少しの間だけ、彼のことを忘れられた。

もう、朝だ。でも、明日は休みだから問題はない。

飲みすぎてふらふらはしているけども、送ってくと言ってくれたカラ松くんの手を振りほどく。ここはカラ松くんの地元なわけで、わざわさ送ってもらうのは申し訳なかったから。
頭はぼーとするものの、意識は微かに残っている。


「それじゃばいばーい!」

「本当に大丈夫か?気をつけてな?」


電車に乗る私をカラ松くんは最後の最後まで心配そうにホームから眺めていた。彼はとてもとても優しい人なんだな。

あのひとは、優しかったけども、適当さもあって、すぐ冗談言ってきて、いつも笑っていて、私の心を照らしてくれる存在だった。彼に出会ってからの日々は、私にとってどれだけ大事なものか。失いたくない、だから、やっぱり会いたい。

がたんごとんと音を立てて電車は揺れる。
椅子に座ったら眠くなってきて、3駅先だから15分もかからないというのに、私は瞼を閉じてしまった。









「……全く、飲みすぎないでよ。見ててひやひやした。まあカラ松相手だから、お持ち帰りされるってことはないだろうと思ってたけどさ、」

声が聞こえてくる。あまり人のいなかった車内のはずなのに、いつの間にか私の隣に誰か座ってる…?
だけど、頭はずきずきするし、瞼は重すぎて、開けられない。そっと肩を抱き寄せられ、私はその人に寄りかかる。じんわりと暖かい、この暖かさは少し懐かしい気がする。
だめだ、起きなきゃと思いつつも、ぽふぽふと頭を撫でられて、知ってる手のひらの感触に私は安心してしまって、完全に眠りに落ちてしまった。

「早くさ、俺のこと見つけてよ。」






夢を見た。彼に会う夢。
大好きな笑顔で、大好きな声で、「おいで!」って腕を広げて、私を呼ぶ。私は迷うことなく、その胸に飛び込んでいった。


「なまえちゃん、大好きだよ」


白馬に乗っていなくても、私の王子様はただ、1人だけなの。


目が醒めると、電車にのっていたはずの私は自分の部屋にいた。
起き上がるとずきずきと頭が痛いのに、それよりもなんだか、体が温かい。

ありえないのに、さっきまで彼の体温を感じていた気がした。