公開ストーカー | ナノ

 2回目


「ねえ、今日はなにしてるの、一松くん…」

「なにって、なまえのこと待ってた。」


お風呂からあがり、タオル一枚で部屋に戻るとそこに体育座りしてこちらをじっと見つめてくる男の子がひとりいた。
いつの間に入ってきたんだこのストーカーは。

不法侵入は回数が減るどころか増える一方だから、さすがに大家さんに鍵変えてもらおうかな…。なんて考えながら冷蔵庫にある牛乳を一杯飲み、一松くんの方へ視線を戻せば、顔を真っ赤にして、きょろきょろと落ち着かない彼がそこにいる。ああそういえばと自分の格好を思い出した。

ストーカーとか大胆なことしてるくせに、女の子に慣れてない様が見ていて面白いし、不覚ながらも可愛いとは思う。まあ、おそ松くんの弟だしって…みんな同い年だけどね。そんな私は一松くんのことはもはや男だと思ってないし、あまり羞恥心はない。というか、ここ、私の家なんで、くつろがせてください。


「ごめん、なまえ…」

「どうしたの?」

「ここで、一回抜いていい?」

「ぎゃあぁぁぁっ!!」


前言撤回!!ズボンを脱いで、下半身を晒す彼のことを容赦なく引きずって、外へと追い出した。
この露出狂が!!どんどんと玄関の扉を叩く音と、「開けてー」と騒いでる一松くんのことはシカトしよう。ご近所さん、うるさくてごめんなさい。許してください。明日、絶対に大家さんにこっぴどく怒鳴られるに違いない。あの人怖いんだよ…。

テーブルに置いてあるスマホを手に取り、おそ松くんに電話をして、今すぐ弟を迎えに来い!と声を張り上げた。




しばらくして、同じ顔の能天気な長男がやってきたんだけども、いい加減、弟くんに叱咤してくれないかな??私の平穏返してくれないかな??


「ごめんねーなまえ。一松もさー息子晒すのはアウトだよ。もっとうまくやれよ。」

「わかった。」

「おい、そこ!助言してんじゃないよ!」


うまく下半身露出するって、なに?どうする気なの?ツッコミたくてしかたなかったけど、呆れる答えしか返ってこなさそうだからやめておいた。てゆーか、一松くん、早くズボン履いてくれ。目のやり場にとてもとても困る。私は年上のお兄ちゃんがいるから、男の人のは見慣れてるけど、そうじゃなかったら本気で一松くんのこと交番に突き出してた。

次はうまくやるから楽しみにててとにやにや笑う弟に、さすがに寛大な私もキレるよ…?


「僕はいつでもなまえのそばに居るから。僕から離れようなんて、バカのこと考えるのはやめたほうがいいよ?だって、僕となまえは運命の赤い糸で結ばれてるわけで
「じゃあ、その糸切っておくわ!」


いっそ、一松くんの大事な逸物も一緒に切り刻んであげようか?もしも近くに鋏があったならば、遠慮なくやらせていただきたい。