「私のこと好き?」 「あ、あぁ」 「本当に?」 「あーうん。」 毎日そんなことの繰り返し。私の彼氏は、全然喋らないしなに考えてるかわからないし、人の話聞いてないし、生返事ばっかりだし、好きって言われたこともないし、私のことそもそも好きなのかも自信がないし、とにかく不安ばかりが募っていった。 人ってどうして、どんどん貪欲になってしまうのだろうか、それは人の性質なのだろうか。告白を受け入れてもらって、付き合えるだけでも本当は幸せなこと、今となっては忘れていた。 「一松の馬鹿。もう別れよう、」 どうして、好きなのに上手くいかないカップルがいるのかって、譲れないもの、許せないこと、いろんな些細ものが山積みに積み重なって、そして、いずれ、倒れてめちゃくちゃになってしまう。元の形になんて、戻せやしない。 「それは、だめ。」 「なんでよ、離して」 「むり、離さない。」 もうだめだよ、私たち。こんなに噛み合わないのに、必死にピースを嵌め込もうとしたところで無駄だ。 さよならしようと意気込んでも、そうやって私の腕を掴むあなたの気持ちがわからなくて、また戸惑う。 好きじゃないなら引き止めないでほしいし、もう、優しさなんていらないの。中途半端な優しさほど、傷つけられるものはないから。 いつか私だって、一松のこと好きじゃなくなる。一松のこと好きじゃない、私になるの。ならなきゃいけないの。 「別れよう」 「きて、」 ぐいっと引っ張られて、私は一松に抱きしめられる。紫色のパーカーは陽だまりの匂いがした。 好きじゃない、もう愛してないよなんて強がってみるくせに、やっぱり愛おしくて離せなくて、離れられなくて、じたばた暴れることしかできない自分が歯がゆい。 「俺は、怖いんだ、」 「え?」 「なまえが壊れてしまうんじゃないかって、」 「どうして?」 「俺の愛が重すぎて、」 「なにそれ、」 その言葉に私はふくれっ面になる。だって、それって、一松は全力で私を愛してくれてないってことで、私は全然一松のこと知れてないわけで、隠していたわけで、それって浮気よりも裏切りじゃないの?そういったら、一松も不服そうにしている。 「私はそんなヤワじゃないもん」 「……じゃあ俺のこと、嫌いにならないって約束してよ。」 「うん、」 指切りげんまん、嘘ついたら、針千本のーます。なんて、お決まりのフレーズに小指を絡めるた後、私は知らない世界に連れて行かれる。 身体全部で愛情表現されているような、彼らしくないキスをされて、彼らしくない愛撫をされて、彼らしくないセックスをした。 でも、それは、全部全部私の偏った知識なわけで、どんな一松も一松に変わりはないのだ。今まで噛み合わなかった私たち2人が、ようやく上手くバランスを保って、歩いていける気がするね。 それは、アンバランス 「…俺、相当嫉妬深いし、他の男と話すとか論外だし、毎日キスしたいしセックスしてもいいくらいだし、くっついてたいし、なまえのことできれば監禁したいし、そんなくそみたいな、俺の愛、全部受け止めてくれるんでしょ?」 「望むところだよ、」 |