…さて、どうしましょうか。 今日は征十郎と遊園地にきました。 しかし、今日は祝日。群れる人に溢れた、この場所で、そう、私は迷子になってしまったのです。征十郎さまの言う通りにすればよかった。と肩を落とすしかない。 ちょっとお手洗いいってくるね、と言うと、彼は着いていこうか?とにやりと笑うから、お子さま扱いされたのが悔しくて、頬を膨らませて、いい、と馬鹿みたいに拗ねたのが始まり。 そして、荷物は征十郎のとこにおいてきたから連絡手段はなし。 「おねーちゃんも迷子なのー?」 「うん、そーなの」 しかも、自分が迷子なのに、迷子引き連れている。5歳くらいの男の子。だって、この子かわいかったんだもん! 天使の泣き顔で私を見つめてきて、ほっとけなかったんだもん! 我ながら馬鹿だと思う。せめて、この子だけでも、従業員さまに引き渡せばいいのだが、自分がひとりぼっちになるのがいやだという我が儘が邪魔をした。 ああもうほんとどうしよう。 軽い私の脳みそじゃなにも思いつかない。 「…やっと、見つけた。」 途方に暮れていると、後ろからぎゅうと抱き締められる、誰か、なんてことは声でわかってしまうよ。ちゅっと、頬にキスされて、ばか、と耳元で囁かれて、子供のまえでなんてことするんですか、あなた!と思いつつも、体は素直だからぶわっと顔が赤く染まった。 「で、何この子供は?」 「あ、この子は」 「もしかして、なまえの隠し子?」 私に抱きついたまま、私と手を繋いでる男の子に目を向けた。見下ろしているのではなく、ものすごい形相で男の子を見下している。 征十郎さま。瞳孔開いてます。ものすごく、こわいです。 そんなことあるわけないのに、 本気で嫉妬してる征十郎さまに嬉しくもあり、かわいいなぁアホだなぁとおもった。こんなこと言ったら、命の危機に合いそうだから、口には出さないけど。 「とりあえず、手を繋ぐなら、僕と繋げ、ほら。」 いつまで僕のものに触れているんだと言いたげに、男の子に恐怖の笑みで、手を差し伸べる。 だから、怖すぎですから、 もうちょっと優しく笑おうよ! 男の子の肩がひくひくしはじめている。 やばいよ、これ以上やったら男の子が、 「うわぁああああ!」 あああ、やっぱり! 私にすりよって、わんわん泣き出してしまった。よしよし、と頭を撫でてあげると、少しだけ、泣き止んでくれて、ほっと安堵。 「征十郎なにしてるの!」 「ふん。」 私が怒ると、これだから言うことを聞かない犬は嫌いなんだ、とか呟いてた。 なんか今日の征十郎かわいすぎる。 こんなに大人げない、彼は初めてだ。 そんな彼の姿を見ていると私も怒る気も失せてしまった。 ああもう、私、なにがあっても、この人には敵わない気がする。 それから、私は征十郎に右手、男の子に左手を預けて、男の子のお母さんを探しはじめた。征十郎はやっぱり始終不満そうな顔をしていて、なんかおっきい子供みたい。 無意識に頬が緩む。 こうやって、新しい彼の一面をみつけるたびに、私の胸はきゅん、と跳ねるんだ。 もし征十郎と結婚したら、将来こんな感じになるのかなあ。と今の現状と未来を照らし合わせてみて、またふにゃあと頬が緩んだ。 ほんとにほんとに、私はこの人がだいすきなんだなぁ。 「あ、お母さん!」 男の子が指差す先には、若いお父さんお母さんがいて、こちらに向かってぺこりと会釈をしてくれた。 もう勝手にどっかいっちゃだめでしょうと言われてる男の子がふて腐れていて、先程の征十郎の姿が思い浮かぶ。 男の子ってかわいいなぁ くすりと、笑うと、なに笑ってるの?と、征十郎が怪訝そうに、 こちらをみていた。 「よかったね、お母さんたちみつかって。」 「僕はなまえとのデートを邪魔されて始終不愉快だったけどね、」 「またそんなこと言ってー」 かわいくない、と言うと、かわいくなくて結構だと、冷たい返事がかえってきた。 もういつものクールな征十郎に戻ってしまったみたい。 もうちょっと、らしくない征十郎みていたかったなぁと惜しい気持ちがこみ上げてきて、ちょっと意地悪で「またあの子に会えるといいね」と呟くと、すぐにムッとした征十郎がみれて、うん、満足! 「なまえは僕だけみてればいいんだよ」 ぎゅうと後ろから抱きしめられて、今日の何度目になるのか、私はまた頬が緩んだ。もう今日一日緩みっぱなし。 これを幸せというんだな。幸せすぎてちょっと怖い、 「私ね、結婚したら、子供二人ほしいなぁって思ったの」 いきなりなにを言い出すんだお前は。と笑われたけど、気にしない。 だって、1人しかいなかったら、私が大変だなあとおもって。今日みたいになりそうなんだもん。挟み撃ちにあいそうで。それに、子供のめんどうばかりで、征十郎をほったらかしにしたら拗ねちゃうかなとおもって。 だから二人ほしいの! 二人いれば子供達は遊ばせておけばいいじゃない! ない脳みそでもここまで予想図をつくれるなんて、私にしては上出来! 「なにそれプロポーズ?そんなに僕と結婚したいの?」 「いや、そんなことは…」 「ないとは言わせないよ。」 私の顎を持ち上げて、ちゅっと軽いくちづけが落とされた。 自分でいっといてなんだが、私なに恥ずかしいこといってるんだろう。でも、そんな未来も悪くないね、と征十郎が笑うから、また私は暖かい気持ちになれた。 未来予想図 (でも、どうせならバスケできる人数ほしいな) (え、5人も!?) (僕がいっぱいベットの中で可愛がってあげるから、がんばってくれ。) (征十郎!!!) -------------------- 征ちゃんと新婚生活みたいなのかきたくてたまらなくなってきた。 ちょっと考えます。 |