「赤司君っていつも余裕だよね。」 「そんなことはないさ。」 済ました顔してなにを嘘ついてるの。 彼が感情を露わしたことはない。基本的に無表情、たまに口を少し緩めたり、怒りは纏うオーラで表すだけ。 これが貫禄というやつなのかな。 私ね、性悪女なの。 だから、少しでいいから本気で驚かして見たくなった。人間ぽい赤司君を見て見たくなった。 きっと、赤司君のスパルタっぷりを見て来た人たちにはなんて無防備なことをと思われるかもしれないね。 ただ、赤司君という人間に興味があったの。 「赤司君、」 「なんだい?」 自惚れでなければ、彼は私のことを信頼してくれている。もちろん、キセキのサポート役として。 だって、赤司君はいつも私を頼ってくれる。黒子君が一軍に上がる時だって、青峰君が初めて開花したときだって、あなたは私に最初に相談してくれたよね。 今日も練習メニューの考案に付き合ってくれと誘われて、部活がないというのに部室で赤司君と二人きり。 ねぇ、赤司君。 そんな私に迫られたら、あなたはどうするの? 「私、赤司君が好き。」 私の唇と彼のが触れる。 赤い目が一瞬狼狽えて、私はにやりと口元が弧を描いた。 どっきり大成功かな? 予想よりはあっさりした態度だったけど、でも、満足。 「なーんてね、冗談だよっ!」 何事もなかったように私は預かった練習メニューに目を通す。 私、赤司君を怖いと感じたことないもの。 だって、私は特別でしょ? どさりと物音と一緒に私は仰向けになって、赤司君の顔が目の前にある。彼に押し倒されてるのだと理解するのに時間がかかって、予想外の出来事に、今度は私が狼狽する番になった。 「ふーん、いい度胸だねなまえ。」 なぜだか赤司君の片目が黄色になってる。 あれ、さっきまでは両目ともに綺麗な赤だった気がするのだけど。 焦りと、少し恐怖を感じるのは、確実に彼がいつもと全く違うからだ。 「ねぇ、なまえ?」 耳元に彼の吐息がかかる。どきん、どきん、心臓が高鳴った。 僕を騙した代償、頂戴? (誰も知らない、) (彼の本性、知ってしまった。) ------------- 本当はリクエスト用に書いてたのですが、全く違うものになってしまっいました。 性格悪い主人公と二重人格赤司くん。 |