Garden


水晶の瞳


参加者


GM.佐久間いずみ
PL.唯代 終/ディア
--------------------

GM:貴方は、何処かで見た覚えのある雑踏を掻き分けて歩いています。
歩いている?……彷徨っている、という方が、適切と言えるかもしれません。
なぜなら、自分が何処へ向かおうとしているのか、自分が何故ここにいるかすらも、分からないのですから。
貴方が心に抱いているのは、箱庭が忘れたはずの薄ぼんやりとした記憶。鮮明ではないにしろ、今だけは貴方の中にある……。
GM:ちぐはぐな町並みはそれでもやはり何処か懐かしく。
聞き覚えのある言語、他愛のない会話が耳を掠めていく。
人混みの中をなんとなしに歩みながら、ふと貴方の目に留まったものがありました。
それは、胸に一輪の白薔薇を挿した人物。フードを被った、彼とも彼女ともつかぬその人物は……貴方を手招きます。
ディア:不思議に思いつつその人物のもとまで、手招かれるまま行きます。
「私になにか用事でも?」
GM:貴方がフードの人物を認識すると同時に、雑踏からはたりと音が失せる。
時計塔の音、空を羽ばたく鳥の羽音、風の音、人々の交わす声、歩く音すらも、すべて、すべて。
モノクロームの雑踏の中、明確な輪郭を持つのは貴方とその人物のふたりっきり。
GM:すべてが静止した世界で、女とも男とも判別し難い声が、この空間に、貴方の頭に響くようで。
「……こころを覗いてみませんか」
質問に答えているつもりなのかどうか定かではない声が帰ってくる。手元にはクロスと、カード、水晶が置かれていた。
ディア:「……?」 思わずなに言ってるんだこいつ、みたいな目で見ちゃいます。
ただ道具に興味が引かれているのか、その人の手元付近ばかりに目をやっています。
GM:「ここが何処か、お分かりになりますか?」不意に、問いかける占い師。
ディア:「知らん
ディア:んんん途中で出てった許さない。
ディア:「知らん。お前は知っているとでも?」
GM:「……ここは貴方の心のなかに築かれた迷宮」
「分かりやすく言うなれば、このままでは醒めることのない夢です。……私のつとめは、あなたのこころを出口までいざなうこと」
ディア:今度は大丈夫かこいつ、って目をむけてきます。
「そ、そうか。それは大変だな」 周囲を見回して、出口らしきものを探します。
GM:出口らしきものは見当たりません。何処までも続く、貴方が見てきた景色と記憶の継ぎ接ぎの街。
GM:その人物は、言葉を発することなく宙に手をかざしてひとつ、空を切る動作をします。
するとタロットカードがすうっと音もなく宙空に浮かび上がり……白薔薇を挿した人物がタロットを指し示す。
「出口はこちら……」目前に浮かび上がるのは22枚のカード。この中からヒトツ選べと言うらしい。
ディア:とりあえず言われたとおり一枚を選びます。21枚目で。
GM:一枚目のカード、【悪魔】 - 正位置
「これは貴方の過去を表すカード。……罪悪、悪徳、過ち、抗えない誘惑、束縛、理性の麻痺」
GM:「大切と思ったものにこそ想いは囚われ……愛するものゆえに傷を重ねたのではないのでしょうか」
ディア:「…………」
助けてくれた“彼”のこと、記憶を辿ってぼんやりと思い浮かべます。名前をくれて、家族をくれて、居場所と温度をくれて……。それをこの人は罪悪だとか傷だとかに例えるのか。愚かしいけれど全部大事なことなのに。
「ふぅん、面白いな。占いってやつか?」 フードさんをじっと見つめて笑って聞いてみます。
GM:「占いですよ、……そう気構えずに、どうぞゆるりと」
GM:悪魔の描かれたカードは、煉獄の赤に抱かれて、燃え落ちた。
ディア:「ふぅん……。はぁい、わかったよ」 燃えたカードを見て、手品みたいだ、とかなんとか。
GM:二枚目のカード、【正義】 - 逆位置
「……貴方の現在を表すカード。……無責任、不誠実、曖昧、どっちつかず、優柔不断」
GM:「貴方が築いている関係は対等なものですか?」
GM:「得ている見返りは妥当なものでしょうか、与える情に責任がとれますか?」
ディア:「…………」
愛してくれる“彼”のこと、記憶を辿ってぼんやりと思い浮かべます。きちんと先生をできているのだろうか。きちんと指導をできているのだろうか。私は代わりをできているのだろうか。
……ちゃんと代用品になれていないから、不誠実?
「さあ、どうだろう。少なくとも対等ではないかもな」
GM:三枚目のカード、【審判】 - 正位置
「貴方にとって、近い未来を表すカード……解放、転機、変容、判断、最後の機会」
GM:「大きな節目がやってくるのかもしれませんね……とても、大きな」
GM:「自分のこころと向き合う転機です。たとえば抑圧されていた願望などといったものとの」
ディア:自分が望んでいたことを記憶を辿って……途中で思い出すのをやめました。
望んだってどうせ叶いやしないもの。どうせ、選べやしないもの。
「それはいい。素敵な未来が待っているんだな。占いだけでもいい結果が出てきて嬉しいよ」 にこっと笑います。
GM:四枚目のカード、【太陽】 - 逆位置
「……これは、問題への立ち向かい方を暗示するものです……そう、叶わないこと……」
GM:「自信喪失、誤った目標、叶わない願い、歪んだ思い、手の届かない事柄」
GM:「……立ち向かえば、貴方は疵を負うでしょう。今は曇天、晴れ間の見えぬ日」
GM:「耐え忍べば、いつか、或いは。もし別の望みを見つけられるのなら、その路を行くのも悪くないでしょう」
ディア:「うん、うん。……そうだな。アドバイス、ありがとう」
GM:五枚目のカード、【月】 - 正位置
「これは、貴方の周囲を表すカード……欺き、偽り、幻想、惑わし、鎮まらない心」
GM:「貴方が探る暗中に答えはないのかもしれません……貴方は今、まぼろしに踊らされているのか、それとも、或いは、貴方自身がまぼろしであるのか」
ディア:きつく唇を噛んでからにっこり笑います。特になにか言うつもりはないようです。
GM:六枚目のカード、【恋人】 - 逆位置
「……これこそ、貴方自身を表すカード……」
GM:「不調和、感情と理性のバランスの崩壊、依存心、誤った選択、迷走、自身の過ちを理解しながら進むしかない路」
GM:「ほんとうに、それで満足ですか?……自分でも迷ってはいませんか。それでもそれしか自分にはないのだと、思っているのかも、しれませんが」
ディア:なにか言おうとして口を開き、またすぐに閉じます。一度目を伏せてから顔を上げ、フードさんのことをじっと見つめます。
「だって私は、“ディア”だから」 それから不器用ながら、小さく笑います。
GM:七枚目のカード、【皇帝】 - 逆位置
「最終的な、この迷宮からの出口を表すカードです」
GM:白薔薇の芳香がふわりと鼻を掠めたかと思うと、ふわりと自分の身体が浮くような感覚。
ディア:「う、わ、なに!?」 わたわた
GM:そのまま浮遊感は落下する感覚へと変わり、夢の終わりが近いことを直感する。
GM:「依存心、現実逃避、責任の放棄、流されるがまま、代替品」
GM:「夢は終われど幻は続く――貴方が“あなた自身”を取り戻すそのときまで」
ディア:「……っ、うるさいうるさいうるさい!!」
「私は、私はだって、必要とされてたのは私じゃないんだもん、私はいらないんだよ」
「お前なんかに、他人なんかに、知ったようなこと言われてたまるかっ」
「私だって、……私だって、こんな“わたし”、いらない」
「誰か返してよ……っ、早く、かえして……っ!」
GM:ひび割れていく風景の中で、フードの人物は貴方の取り乱した姿を眺めている。
ふ、と 占い師は今まで消えていったカードを7枚、宙に呼び戻す。どれかひとつを持っていけ、と、言うことらしい。
……悪魔、正義、審判、太陽、月、恋人、皇帝。
ディア:「そんな紙切れ、いらない、いらない、いらない、全部いらない!」
腕を振って戻ってきたカードすべてを拒否します。
ひとつを選んで6つを捨てるなら、7つすべてを捨てましょう。なにも選び取らないことも、また選択のひとつのはずだから。
GM:ぶわりと風が吹く。カードすべてが散り散りになって、闇の彼方へと消えていく。
その風に煽られて、フードの人物の顔が虚ろな空間の中に浮かび上がって、貴方を見据えている。
GM:「誰にもならないことを選ぶということ、誰にでもなれるということ」
GM:「さようなら、親愛なるわたし
GM:毎朝鏡の中で見る黒髪がさあっとなびいたかと思うと、彼女は――貴女は虚無へと溶けるように消えた。
ディア:もしかしたらそれを見て、我慢してた涙が流れていたかもしれません。
GM:そうして貴方は目を醒ます。
なんにもない。なあんにもない。ただただ虚しさだけが胸を満たして、嫌な夢を見た気がする。
つうっと頬を濡らす涙だけが、その記憶の残り香だ。
GM:---
シナリオクリアおめでとうございます。
▼クリア報酬スキルポイント50pt
タロットカード無し、記憶報酬無し。
ディア:わぁい、お疲れ様でしたー!スキルポイントもらったぜやったーヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
ディア:楽しかった……(満足
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -