Garden


I my me


参加者


GM.篠崎
PL.夕紀乃/クラーマレ
--------------------

?:では、クラーマレさんの「I my me」初めて行きます。よろしくお願いします!
クラーマレ:よろしくお願いします!
??:【Dream】
??:【noise】
??:貴方は誰とも知らない人々の声で目を覚ます。
??:それは息をするように、いや、問いかけるように、いや、嘆いているようにも、笑っているようにも聞こえる。
??:幾何の声だ。
??:目を開いても、そこに広がるのは闇。
??:何もない。
??:自分の輪郭が無いとすら思える空間だ。
クラーマレ:「……?」闇しか見えない空間を見て、これは夢だろうか、とぼんやり考える。
目を閉じて、耳を澄まします。何の、誰の音だろう。
??:誰の声かは、わからない、君には理解ができない。
どこかで聞いたことがあるように思えるが、思い出せないのだ。これがきっと、夢だからに違いない。
クラーマレ:音の方向は分かりますか?
??:耳の良い君には分かるね。
すれ違う人々のようなその音が、揃って向かう方向が。
クラーマレ:「…………」目を開く。見えるのはやっぱり闇なのかな。
音の向かう方向に、一歩ずつ進みます。
??:意識だけのあなたは、それでも歩く。
??:ひたひた、ひたひた。
??:どこに行くかもわからないが、この闇で唯一君に与えられた、音を追いかけて。
??:ひた ひた
??:ふと、足の指先に今までとは違う、冷たい感触がした。
クラーマレ:思わず立ち止まる。視線を無意識に足元に向けます。
??:視界を落とすと、足元だけはぼんやりと浮かんで見えるね。
??:床には沢山の、モノクロの写真が落ちていた。
??:沢山の人々が映っている。
誰も、君には覚えがない。
??:ただ、どこかの人々の思い出を写したような、例えるなら、「幸せ」な写真だ。
クラーマレ:首をかしげてしゃがむ。適当な写真を一枚手に取ってみます。
??:では、君がその一枚の写真を手に取ると、地面と写真が縫い付けられていたかのように。
ブチブチ、ブチ 赤い血管が、音を立ててちぎれては離れていく。
??:驚いて、下を見ると、モノクロの写真が赤く、彩られていく、一度流れ出した血液は止まらない。
愛おしそうに、君の指を伝い、滴り落ちていく赤、赤、赤。
クラーマレ:「!?」思わず写真から手を離す。写真が染まっていくその光景に、一瞬、重なる記憶。悲鳴、怒声。思い出すのも苦痛な記憶。
「う、……あ、」声が震える、後ずさる。赤を振りほどくように手を振るう。
??:君が後ずさる、一歩引いた、その足を受け止めるように、椿の花が踏み潰される。まるで、"君を逃がさない"というように。
??:手をふるっても、赤、どこに逃げても赤い。君はまるで、返り血を浴びたかのようだ。
??:ふと、写真が目に留まった、先ほどまで、幸せな風景の中で生きていた人々が、みな不自然にこちらを、君を見ている。黒い瞳で見つめている。
??:声が聞こえる。
??:彼らは自分に向かって、何かを叫び続けている。
??:「いたいよ、ママ、怒らないで」 「ねえ、なんでなんでなんでなんでなんで、どうして、」
??:「あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
??:「目の見えない僕に、空の青を教えて」 「僕ら会わなきゃよかったんだ」 「お前がやったんだろ」
??:全ての言葉が、君の耳に、聴覚に訴えかけてくる。
??:君はその情報量の多さに混乱をする。
クラーマレ:「ひ……っ」膨大な音に、耳をふさいでその場にうずくまる。
「あ、ぁ、うあああああ!!!!」まるで子供の頃のように、情報に追いつけず、叫ぶ。その自身の声にすら苦痛を覚える。
??:耳を塞いでも、その声はやむことはない。
??:ざわざわと嵐のような、声。
??:数秒後、君にとっては何時間にも思えた頃に、声が消えて行った。
まるで何かに押しのけられるように。スイッチを切られたかのように。
??:瞬間、頭上から、ひときわ大きな声が降りかかる。
「あなたなんて産まなきゃよかった」
それはねっとりと、きみを泥で汚すように、沁みついて離れない。
クラーマレ:「あ、ぁ、」まだ錯乱したままに、その声を聞く。なんで、「おかあ、さ、」記憶に飲まれる。どうして、なんで、ごめんなさい僕が、僕が悪いから、僕がこんなだから。
「ご、め、なさ、」その場にうずくまったまま、目を見開いたまま、震える。涙がいつの間にかあふれていた。
??:視界に君の思う母はいない、あるのは、血にまみれた自分の手と、写真と、音だけ。
涙がぼたぼたと落ちていく。
??:君は視界の先に映る、一枚の写真に目が留まる。何故なら、君の子供の頃の姿にそっくりだからだ。
??:その写真は、誰かに恨まれたかのようにぐしゃぐしゃにされていて、歪に広げられている。
??:目を逸らしたい過去から、目を逸らす事が出来ない、君は瞬きも忘れて、その写真に見入る。
??:写真の中の少年は、歩いた。母親と思わしき女性の手をひいて。幸せそうに歩いている。
??:あり得ない。こんな未来はあり得ない。君の脳に危険信号が走る、けれど逸らす事はできなかった。縫い付けられているかのように。君は、
クラーマレ:ふら、と写真に手を伸ばす。幸せそうな幼い自分。きっとこの“自分”は自身の力に苦しむこともなかったんだろう。
なんで。どうして。僕は、私は、
その写真を握り締めようと、めちゃくちゃにしようとして──
クラーマレ:手が、止まる。
クラーマレ:その場に、うずくまったまま倒れこむ。張っていた気が緩むように。
「……いいなぁ」
うらやましい、ねたましい。今の自分だから浮かぶのだろう感情に、涙をこぼす。
苦しい、痛い、つらい。なんで僕ばかり。なんで私ばかり。そんな浅ましい感情が浮かんでは涙となって流れる。
クラーマレ:赤にまみれた自分に自嘲がこみ上げる。
「僕だって、普通の家族みたいに、過ごしてみたかったよ」
幸せそうな、あり得ない自身の姿を映す写真に、もう見たくないと言うように自分の手を重ねる。手に力は入らない。
??:そんな、君の言葉に答えるように、笑い声が響く。哀れな子だと。誰かが笑う。笑っている。今も。
??:君は目を逸らした、また、逃げた。
蹲った視界の先、目と鼻の先の写真。顔の識別できない子供の首が、あり得ない方向に曲がり始めた。
??:気付いた瞬間、心臓を掴まれたのかのような恐怖を味わう。ジワリジワリと、子供の首は折れていく。ゆっくり、ゆっくりと、骨を鳴らして。
??:何かに胸倉をつかまれた、頭を踏みつけられたかのような衝撃が走った。
??:「何もしなかった、お前は逃げてばかりだ」
??:「今だってそうだろ、」
??:子供は君に訴えかけるように、ただ一方的に君を責める。
クラーマレ:ぐっ、と息を詰めるように苦痛を覚える。顔をしかめてながら、子供の言葉に、は、と乾いた笑いをひとつ。
クラーマレ:「そうだよ」「僕は逃げてばかり」「流されるばかり」「独りじゃ、なにもできないんだ」
クラーマレ:「だって僕には、何もない」
??:「何もない、じゃないだろう?」
??:「何もしやしなかったんだ」
??:子供は諦めたかのように、乾いた音で笑った。
??:首は折れたまま、いや、体がもう形を成していない、ソレは君を見つめて言った
??:「聞こえていた癖に」
??:【Dream】
??:【noise】
??:目が覚めた。
??:貴方は今拠点の自室にいる。
??:いつも生活している部屋だ。
??:上手く呼吸ができない。じわりと滲む汗。
??:君は、夢から覚めたのだろうと錯覚をする。
??:耳にこびりついて離れない、あの声達をまだ君は忘れていない。
??:覚えている。
クラーマレ:ひとつ深呼吸をして部屋を見渡す。変な夢だった、と息を吐く。
膨大な音の残滓に頭を振る。思考がまとまらないのはきっとあの夢の中の音が多すぎたから。
??:ぼんやりとした痛みを覚えたままの、思考がまとまらない脳。
君は部屋を見渡した。ふと、枕元に置いてある一冊の本に目が留まる。
??:"I am you,and you are me"
??:こんなものあっただろうかと君は疑問に思うだろう。そして導かれるままに、本に手を伸ばす、ページをめくる。
そこにあることに違和感を持っても、疑いはしない。何故なら、これもまた夢だから。
クラーマレ:ぼうっとしながら本のタイトルに目を滑らせる。仲間から教えられた知識で、なんとなくその言葉の意味を認識した。
ぱら、ぱらとページをめくって、中身に目を通す。
??:君には不慣れな言葉の羅列でも、不思議と意味が理解できる。誰かが読み聞かせてくれているようにさえ思う。
??:君は、いつの間にか声に出してその本を読んでいた。その子の、生涯を。
??:"とある冬の事、生を祝福されなかった子が居た。"
"出生届もなく、生そのものを否定された存在だ。"
"愛されず、碌な食事もとれなかった。"
??:"その子は愛を聞こうとしたのか、耳が良くなった。"
"色んな人の声を聞いた。"
"けれど、皮肉にもその子が聞いたのは、哀しみのものばかりだ。"
クラーマレ:ぽつぽつと読む。ぼんやりした思考に、自身の声が混ざる。
どうして。これは、私の、……僕の?
??:ああ、そうだね。何て切ないストーリーだろう。
??:ぼんやりとした思考の君はこの話を読んで、懐かしさを感じるだろう。いや、もしくは憐れみだろうか。
??:君はそのまま導かれる様に、ページをめくる。その先を知りたくて、この本に綴られていることが、他人事だとは思えやしないから。
??:ヘージをめくる、先は白紙になっていた。
??:中央に一文がぽつんと浮かんでいる。
??:「"君は、何で生きているの?"」
まるで隣で誰かが一緒に読んでいるかのように、本は問いかけてくる。
クラーマレ:「…………」白紙に困惑しながら、その一文を指でなぞる。
クラーマレ:「皆と一緒に笑いあっていたい。皆の隣に私も在りたい、生きていたい。……それだけよ」言葉をこぼして、苦笑を浮かべる。わがままだなぁ、と心の中で。
クラーマレ:そんな価値は私には無い。わがままだと知りながらも、願わずにはいられないのだと。
??:「"そう、それが君の生きている理由なんだね"」
??:数秒の沈黙後、また君に問う。
??:「"じゃあ、君にとっての価値って何かな"」
クラーマレ:「……誰かのためになることかしら」少し考えてから答える。罪人で化け物で、誰のためにもならない私に無いもの。
??:「"そっか"」
??:「"じゃあ、今の君には価値が無い 価値が無い何もない何も、何もありはしない"」
??:「"価値が無いのに、存在していていいのかな 生きて、他の価値あるものと同じ空気を吸って 本当にいいのかな?"」
??:「"ねえ、わからないよ 教えて 私に"」
??:「"君が何を思っているのか、吐き出してよ 私に 全部"」
??:「"私"」
クラーマレ:「……よくないわね、きっと。私に価値は無い。あなたが言うように価値が無い。死ぬ理由はあっても生きていい理由が、価値が無い」
クラーマレ:「だけど、私は生きたいの。これは私のわがままよ。許されなくても、私は、皆と一緒に笑っていたい」
クラーマレ:「……わがままだって、思わないと、」
クラーマレ:「だって、そうでしょう? 私が自分をモノとして見て、必死に生きる理由を作ろうとして、……彼がそれを、喜ぶわけがないのよ」
頭に受かぶ、黒い道化の青年。彼もまた、一緒に在りたい仲間。
クラーマレ:「私は、生きたい。否定されても、許されなくても」
「これをわがままってことにしないと、私はまた、ああなるわ。無理やり理由を作って生きようとする、滑稽な道化に」
クラーマレ:「……これじゃ答えにならないわね。私にも結局、分かってないのよ。今だって、これでいいのか分からないもの」
クラーマレ:軽く頭を振る。そうだ、私はまだ、この答えを出さずに逃げようとしてる。だけど、いくら考えても、答えが出ない。まるで闇の中のように、出口が見えない。
独りでは答えにたどり着くこともできない。……弱いなぁ、と苦笑をまたひとつ。
??:「"君は、今までに沢山を聞いたね"」
??:「"悲しいことばかりだった、それでも、今、生きたいと言える 私があなたのように、多くを聞いてしまう存在であったなら"」
??:「"迷わず耳をそぎ落とした"」
??:「"貴方はなぜそうしなかった?痛みが怖かった?"」
??:「"君は君で、本当によかった?"」
クラーマレ:「どうして、かしら。ああ、でも……そうね」自身の左耳に触れる。赤いピアス。
「悲しいことばかりだったけど、嫌な音ばかりだったけど。それでも、ちゃんと温かい音はあったから……その温かい音を、もっと聞いていたかったから」
クラーマレ:「……いろいろあったけど。だけど、“私”じゃなかったら、彼らには出会えなかった。皆に、皆の温かい音に、たどり着けなかった」
クラーマレ:「だから、きっと、私は“私”でよかったと思うわ」たくさん間違えてしまったけど、それでも。「この耳だからこそ、聞こえるものもあるから」
??:「"……………、……"」
??:本は、答えなかった。
??:ひとつ、黒い雫が白紙から流れ落ちた。
??:そのまま、雨のように、黒い雫は真白のページに広がっていく。
??:【rain】
??:まるで、君を羨むかのように。
??:何も言わず、ただ溢れるだけ。
??:その雨音のの数だけ、声にならない憎悪の声が、きっと、救われなかった者たちの声が、溢れてやまない。
??:文字になるはずだった声は、音になって、君の耳に、脳に、流れはじめる。まさにノイズとして。
??:ああ、この本を*さなければ、声はやまないだろう。
??:いつの間にか君の手にはナイフが握られていた。
クラーマレ:「……っ!?」あふれるノイズに、反射的に、その本から手を離そうとして、振り払おうとして、
クラーマレ:握っていたナイフは、そのまま本へ。
??:君は本に、ナイフを突き立てた。
??:すんなりと刃が埋もれてく、いや、だがこれは、本の感触ではない。抉れる、白いページから溢れる赤。
??:色がぐちゃぐちゃになって、視界に入れるのも不快な、まるで腐ったジャムのようだ。
??:「       」
??:「   」
??:誰かが君に何かを伝えようとしている、しかし雑音で悪くなった耳はその言葉を識別してくれない。
??:疲れた君の意識がゆっくりと薄れていく中、少女の声で、「どうして」と、そう、聞こえた気がした。
??:【ひつじ雲】
??:【noise】
??:タタタン、タタタン。
??:君は今、揺れる何かの中だ。
??:どこに運んでくれるんだろうか?何て心を躍らせながら、先ほどの出来事を忘れるかのように。
君はどこからか流れる心地よいメロディーを聞きながら、揺られている。
??:君はそのあまりの心地よさに、目を開けることをしない。
クラーマレ:耳に心地よい音を聞きながらふわふわとして感覚で静かに目を閉じている。
クラーマレ:耳を澄ましながら、意識はぼんやりと。
??:ああ、まるでそのメロディーは、いくつもの人々が傍で歌ってくれているようだね。
??:そのメロディーに呼応するように、誰かが君に問うた。
??:「"きみは、さみしいのはへいき?"」
クラーマレ:「…………」ふるふると首を振る。寂しいのは悲しいの、と。
??:「"そう、じゃあ 傍にいてあげる"」
??:「"---を---ちゃダメだよ"」
??:その子声は、時々ノイズが走り、何を言っているかわからない部分があるね。
??:「"話そう、もっと話を"」
??:耳元で、くすぐるように笑っている。
??:「"ねえ、普通ってなんだろう?"」
クラーマレ:ノイズ音に不思議そうな顔をして、もっとちゃんと聞こうと耳を澄ます。心地よくて、ぽわぽわしている。
クラーマレ:「……なん、だろう……」ぼうっと目を閉じたまま、答えを探す。
クラーマレ:「……ご飯を、ちゃんと食べて……ちゃんと眠って……誰かと笑いあって……?」ぽつぽつと取りとめないことをこぼしていく。
クラーマレ:「……明日を、迎えられること……」そして、明日もまた誰かと笑いあう。
??:「"明日を、迎えられること……"」
??:まるで、子供が絵本の続きを読んでとお願いするようにその子は君に問うのをやめやしない。
??:「"ねぇ、幸せってなんだろう?それは甘いもの?シナモンのように香るものかな、"」
??:「"君にとっての、幸せを教えて"」
クラーマレ:「私に、とって……」
クラーマレ:「……苺のショートケーキ、かしら。……甘くて、だけど少し酸っぱくて……それがやみつきになるような……一度知ると、手放せなくなるの」
クラーマレ:「とても、温かくて……ずっとそこにいたくなって……離れたく、なくて……」ぽつぽつ、と。
??:「"幸せは、砂糖菓子に似ているんだね その味を、知っているんだね いいなあ"」いいな、いいなと子供たちは笑いあう。君もつられて、幸せに微笑んでる。
??:「"……も幸せになれるかな? ---みたいに"」
クラーマレ:「……?」聞きとれなくて悲しそうに眉をさげる。
??:「"…幸せに、なれるかな?"」
??:君の手をひいて、自分たちの胸に寄せているようだ、どうやら僕らも幸せになれるかなって聞きたいみたい。きみみたいに。
クラーマレ:「……分からないわ。だけど……私は、生きたいって必死になってたら、いつの間にか幸せをもらっていたの」
「独りきりだったら、諦めていたら、きっと幸せにはなれなかった……」
「誰かと一緒に、笑いあって、それを手にすることを諦めなかったら、きっと」あなたたちも。
??:「"…わかった、わかったよ ひとりじゃないから、きっと大丈夫"」 「"うん"」
??:「"幸せになれる"」
??:うたを歌う、笑い声。
??:君は肩をゆすられて、起こされるように目を開くね。
??:【雑音】
??:視界に映ったもの。
??:電車のなか。吊革に、沢山の人が首を吊っている。
??:苦しそうな顔をして、みな、息絶えている。
??:ある人は、涙を流しながら。ある人は、口から得体のしれない何かを吐き出して。またあるものは、首が異様に長く、伸びて。
クラーマレ:「…………え、」目を見開いて、呆然とする。
クラーマレ:「なに、これ、」声が震える。純粋な恐怖。こわい、こわい。震える体で、後ずさろうにも後ろはなくて。
??:逃げ場のない君は、ただその現実から目を逸らす事さえも怖くて。
??:ぐしゃ、ぐしゃ。
??:重さに耐えきれなくなったのか、吊革は千切れていく。
??:死体は地面に叩きつけられる、その衝撃で、腕が足が、首があらゆる方向に曲がっていく。
??:ぐしゃ。
??:誰かの手が、君に縋るように伸ばされていた。
??:力なく、君の足首を掴んだ。
??:光を宿していないその無数の瞳に、ただ一人、映り込む君に。
??:「"幸せに、"」
??:そう、問うた。
??:【Dream】
??:【noise】
??:「…ねぇ、クラーマレ?」
??:君はその声に起こされた、悪夢を、見ていた気がする。
??:声の方を向く。君に微笑む二つ結びで赤い目の、白い肌の少女。
??:「クラーマレ、私は多くが聞こえないけれど」
??:「貴方は聞こえるのね、それはとっても素敵なこと」
??:「多くが聞こえるなら、多くが知れるのかな」
??:ふたり、公園のベンチに寄り添う。
??:少女は、貴方の肩に首を預けるようにして。
クラーマレ:「…………」ぱちくりと目を瞬かせる。緊張でこわばっていた体から力が抜ける。
クラーマレ:「どう、でしょうね……」声が震える。自分でも何に恐怖したのか分からずに。
クラーマレ:「多くが聞こえると、小さなものを聞き逃すことも、あるわ。……そういうときに限って、小さなものが何よりも大切だったりするの」苦笑を浮かべて、声の震えはまだ、残って。
??:「そうだね、君は優しいから……小さなことも、気にして、拾って、悲しんで、生きようとする」
??:「……怖い夢でも見たの?」その震えに気づいたのか、心配そうに声をかけるよ。
クラーマレ:「……あんまり、覚えてないけど、たぶん……」申し訳なさそうに笑う。気づけばきつく握っていた手に、血が通って無くて、冷えていた。
手をふるふるして、ひとつ苦笑をこぼす。
??:「怖い夢は……共有するといいんだっけ、悲しいことは分かち合って、何て、誰が言い始めたんだろう」君の冷えた手を温めるように、そっと手を添えるね。
??:「あったかいね」そう言って、笑う。二人、他愛もない話をしている。まるで日曜日の昼だ。
??:黒猫が君たちの足元にすり寄ってきて、可愛らしく鳴く。
彼女は、「餌が欲しいだけだろう」と笑っている。
クラーマレ:「……誰かしらね。だけど……」添えられた手を握るように、手をつなぐ。「……こうしてると落ち着くわ」
温かい、と笑みをこぼす。
??:「うん、あたしも落ち着く こうして触れていることが、奇跡みたいだと思うんだ」
??:貴方が居て、私が居て。今流れるこの空間に君は安堵する。今までの悪夢が、すべて洗われていくようだ。
??:君の目には、突然涙が浮かぶね。なんだろう、この少女とは、初めて会ったようにはとても、思えないから。既視感を覚えるから。
??:夢なのに。
クラーマレ:「あ、れ……」ぽろぽろと涙が落ちる。なんで泣いてるんだろう。夢が怖かったから?安心したから?
違う、もっと違う何か。彼女を知っている? どこで、知った? 手をつなぐと安心したのは、彼女といると笑みがこぼれたのは、
会えて、うれしいと、思ったのは、
??:「………ほら、」彼女の白い指で君の涙を掬うね。
「あたしも嬉しいよ」なんて、笑いかけて。君は声に出していないのに、優しく微笑む。
??:そのまま頬に手を添えて、彼女は口を開く、何かの思い出話をしているようだ。
??:けれど何を言っているかわからない。
??:トーキ―映画のように。声だけが聞こえない。
??:【noise】
??:一瞬、ノイズが走る。
??:ラジオのチャンネルを変えるかのように、ブツリと彼女の声が君の耳にも届きはじめる。
??:「なんでアタシ、あの時、死ななきゃいけなかったのかな」
??:「化け物は嫌だ」
??:「人になりたかった」
??:「でも、君は、幸せになるんだろう?」
??:表情と声があっていない。彼女は今もまだ、他愛もない話を、しているように、微笑んでいるのに。
クラーマレ:「え、」困惑を顔に浮かべる。彼女は、何の話を。この声は、本当に彼女の?
??:声は彼女のものだ。歌えば透き通るような、何故か聞き覚えのある声。
??:彼女は言葉を続ける。
??:「君は生きる価値がなくとも、たとえ、間違いだとしても、ワガママに生きると言ったね」
??:「そうして、幸せになるんだね」君を責めているようにも聞こえる声のトーンで。
??:いつの間にか、しとしとと、雨が降り始めている。
ああ、いつかの本で見た、黒い雫だ。
クラーマレ:「なに、を、」黒い雫にあのノイズを思い出す。
「……あなたは、今の私が、間違ってると思うの? 私は、やっぱり、生きる理由がないと、存在することも許されないの?」不安がもれる。こぼれだす。
ずっとずっと思ってたこと。だってどちらがいいのか、正しいのか、私はまだ分からない。
??:「生きている価値が無い、いや、価値のある人なんていないのかもしれない けれど」
??:「アタシは死んだ、喜部ことも嘆くことも笑うことも、もう思い出す事も出来なくなった なのに、どうして、君は、君は、」
??:彼女は、好きな食べ物の話を、林檎を齧るようなしぐさをしながら、問う。
??:「あたしも、普通がよかったな」
??:「許すか、許さないかで分けるとしたら、許せないよ、あたしも普通がよかったな、生きる価値がほしくて、許さない、価値のある人なんていない、嘆くことも笑うことも、君は、君は、アタシは死んだ―――」
??:また、爆音。
??:君の中にはどうしようもない、大量の憎悪の声が溢れてやまない。
クラーマレ:「っ、ひ、」自分の声すら飲みこまれるような音、音の海、マイナス感情の音、痛い、苦しい、いたい。
??:君はその音に怯えた。
??:少女の後ろにはいつの間にか、ナイフを持って立っている、自分が居た。
??:ああ、今、ナイフが、少女の首に、突き立てられ、
??:【rain】
??:まるで恵みの雨。
??:赤く赤く視界が染まっていく。本で見た、黒い雫と、赤い血が混ざった、腐ったジャムにまみれた彼女。
??:「どうして、」「また、殺すの」口からゴポ、と血を吐いて、涙を流して。
クラーマレ:「なん、で、」震える手で、彼女に手をのばす。 「やだ、いやだ、」彼女に触れようとする。赤い、黒い、赤、赤、なんで。
??:その声に彼女が答えることはなかった。
??:先ほどの黒い猫は、鳴き声をあげながら、死体に寄り添う。
??:まるで、親を喪った子のように。
??:そこに取り残されたのは、赤く汚れた、無力な青年だけだった。
??:【Dream】
??:【noise】
??:「もう、覚める時間みたいです」
??:幼い、少女の声。
??:短く整えた黒髪に黒い目。
??:その少女の姿は貴方の記憶のどこにもいない。
クラーマレ:「……だ、れ、」震える声で、少女を見る。疲れ切った声。
??:…少女はそんな君を見て、どこか、懐かしさを抱かせる温もりを黒い瞳に映し、微笑んだ。
??:「ユメは、どうでした?沢山を見てきたでしょう?」
クラーマレ:「…………悪趣味ね」ぽつ、と一言。悪夢、という言葉に収めるべきでないとは思ったけれど、趣味がいいとは思えない。
??:「ふふ」
??:「…わたしからの問いは、これが最初で最後です」
??:「よかったら、教えてください」
??:「ユメは逃げるために見るものだと、誰かがそう言っていました」
??:「あなたにとって、『ユメ』とはなんですか?」
クラーマレ:「……ゆめは、憧れ、希望。そう思う……そうであってほしい、わね」 夢の名を冠した元の世界での仲間を思い描きながら。
「夢があるから、生きていける……生きたいと思える」ぽつり、と言葉をこぼして。
??:ユメを受け取った彼女は、仄かに笑った。
??:「それでもいずれユメは覚めるものよ」
??:【Unidentified Flavourful Object】
??:【noise】
??:君は、目を覚ます。
??:見慣れた天井、見慣れた部屋、もう違和感があるものは何もない。
??:ただ額に嫌な汗と、妙に早く脈打つ鼓動と。
??:漠然とした、嫌な夢を見た覚えだけは確かに残っていた。
クラーマレ:「……っ、は、」息を吐く。妙に頭がぐらつく。まるで、音を聞きすぎたような。
??:【noise】
??:夢の中で何度も聞いた、あのノイズが、聞こえたような気がした。
??:耳に意識を向けると、気づく。
??:君の左耳には、イヤーカフが、耳の裏から咲き誇る白い花を模したアクセサリーをしていた。
??:それは髪の毛にも絡まるように、さわさわと優しく、咲いていた。
??:けれど、時折耳を刺すようなノイズが走る。この花は、一体なんだろうか。
??:深く息を吸う。
??:窓の外を見る、西の空が朝を連れてきた。
??:君はまた声を聞くことになるだろう。それでも、前を向く、価値がなくとも、約束をしたから。
クラーマレ:ふるふると首を振って、ベッドから降りる。窓から外を眺めて、朝日に目を細める。
ぱし、と自分の頬を包むように軽く叩いて、アメジストの瞳を輝かせる。 「今日もがんばらないとね」微笑みをひとつ、浮かべた。
クラーマレ:イヤーカフに少しの疑問を覚えつつ、身支度を整える。今日もまた、皆と笑いあうために。
??:ああ、君は笑って生きていく。
??:「I my me.」
??:セッションクリアとなります。お疲れさまでした!
クラーマレ:お疲れさまでしたあああ!!
??:【ひつじ雲】
??:楽しかったわー
クラーマレ:楽しかったー
??:ヒューーーーーー!!!やり切ったやりきった
クラーマレ:つんつんされまくった!
??:I my meは殺すためのシナリオでは?#違う
??:スキルなんかはまたあとでBBSにあげるね!
クラーマレ:はーい!
??:いやー思いのほかお姉さん反応が良くてシーンを掘り下げ続けてしまった
クラーマレ:おかしいな……ほのぼの展開もあり得るシナリオのはずなんだけどな……(
??:うそだ〜〜〜〜
??:ころす!!!
クラーマレ:RP症が出るよね!
??:いいことよ。
クラーマレ:楽しい
クラーマレ:殺されたから!オーバーキルだから!!
??:wwwww
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -