Garden


秘密の箱


参加者


GM.水島 新
PL.ひよにし屋/市閑要哉
--------------------

市閑要哉さん総評

今回のセッションを通じて、わたしは「市閑要哉」という人間が、「諦めという楽に流れた」「しかし哀しみや絶望から人を救いたいと願う心優しい青年」であるという風に感じました。

抗うことなくあっさりとダンジョンに入っていったのも、正体の判らぬ「声」に問われるがまま(素っ気無くも)答えていたのも、諦めてそのまま流れに身を任せたほうが楽だと思っていたからなのではないでしょうか。

そう考えると、要哉くんはきっと、もう諦めることに慣れてしまっているのだろうなと思えます。
慣れてしまったから、諦める苦しさやもどかしさより、諦める楽を選択しているのでは、と。

けれど、彼はライオンの映像を見たとき、自由を与えてから殺してやりたいと考えました。
檻に閉じ込められ悲しみを抱えたまま死ぬよりも、自由を与えて一時でも幸せを感じさせてから、殺したいと。

……結局殺したいと考えているのですから、これは残酷な思想なのかもしれません。
ですが、わたしは彼を優しい人間だと思えました。


また、最初にライオンのぬいぐるみをセットに置いたとき。要哉くんはまず、ライオンの気持ちになって置き場所を考えました。

集団に囲まれて自由を得られないライオンは、「かなしい」のではないか。
檻に閉じ込められて全てを奪われたライオンは「いかり」を抱くことしか出来ないのではないか。
草原に放たれ、自由を手に入れたライオンは「よろこび」を得ただろう。

最後に彼が手元に残したいと思ったのは、彼が何かを殺すときに覚える「たのしみ」でした。

生き物を殺すことで愉悦を覚える彼は、それはもう歪んでいます。
でも歪んでいる彼は、それでも無意識に人を慮る気持ちを捨てていないのだろう、と感ぜられました。


そして、「声」を聞いた要哉くんは、ライオンのぬいぐるみの置き場所を変えました。

「大勢に指されたり、笑いものになってもいい」
……そんな場に、己の悲しみを晒したくはない。それならば、見られても構わない「よろこび」にしよう。
「一生出れなくて、一人きりになってもいい」
……置いてけぼりにしても構わない感情は、あってもなくても構わない、「いかり」。抑えておきたい感情。
「自由になるのを望む?離れていってしまってもいい?」
……手から離れてしまっても良い感情は「かなしみ」。それは消えて欲しい感情。

彼が手元に残した「たのしみ」は変わりませんでしたが、彼はそんな考えのもとでライオンの置き場を変更しました。


この後、要哉くんは「声」から答えを教えて貰い、また質問をされます。
そしてそのやり取りの中で、わたしは彼の抱える感情の中で、消えて欲しい「かなしみ」が、実は一番彼が重んじている感情なのではないか……と思いました。

彼は「どんなときにその感情を感じるか」という問いに答えることを嫌がっていました。
姿も現さず、自分の気持ちも考えず、自分の心に踏み入る質問をしてくる声が心底鬱陶しかったのかもしれません。

けれど、そんな彼が、唯一間を空けず即答してくれたのが、「かなしみ」についてでした。

目の前で殺されたとき。
酷く重い状況であるはずなのに、彼はさらりと言ってくれました。
そしてそこから「悲しみ」を感じ取ることは出来ませんでした。

消えて欲しい感情。それが要哉くんにとって悲しみであるのなら、
もしかして彼はその重さに耐え切れず、自ら悲しみを手放してしまったのかもしれませんね。
けれど同時に、悲しみは求めて止まない感情のようですから、
いつか彼がそれを受け止められるだけ成長したときに、
悲しみを得られたらいいなと思います。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -