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黄瀬涼太との仕事からすでに数週間経った。いまだにあの時の光景は忘れられない。
それでも寝付けないということはなくなったからだいぶましになったものだ。

「んお?お前あれじゃね、黄瀬のとこの」

「青峰大輝・・・」

書類を黄瀬涼太のところに持って行く途中で青峰大輝と会った。
青峰大輝とは最初の顔合わせ以降会ってなかったから話しかけられたこと自体にびっくりだ。きっと長期任務でも入ってたんだろう。少しだけ、血のにおいがする。


「何、黄瀬のパシリ?あーまぁ頑張れよ」

「思ってもないこと言わないでください。青峰さんは仕事帰りですか?お疲れ様です」

そう言ったら青峰大輝は目を見開いた。なんだその反応は、私に失礼だろうが。
そう思ってたのがばれたのか、青峰大輝はため息をついて手を私の頭にのせてきた。そしてあろうことかそのままなでられる。

「そんな顔すんな。・・・ありがとな」

「・・・」

・・・私が思っていた青峰大輝と少し違う。私の頭を撫でている手はお兄ちゃんみたいだった。
そんなことを考えていると持っていた荷物が軽くなる。

「えっと・・・いいですよ。一人で持てます」

「遠慮すんな。黄瀬んとこまで距離あるし、手伝うぜ」

「・・・ありがとう、ございます」

キセキの世代に心から「ありがとう」と言う日が来るとは思わなくて、少し恥ずかしくなってうつむいた。
そんな私を青峰大輝が冷めた目で見ていたとは知らずに。


(キセキの世代は敵・・・忘れちゃだめ)(でもこんな扱い受けるとは思ってなかったんだもん)



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