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奴らを追ってついた先は今や廃墟となった場所だった。あたりは荒れ果て、家自体もボロボロだ。
その家の中からは数十人の声がする。

「ここみたいっスね」

「はい」

「・・・それにしてもボロいっスね。途中で壊れたり、とかしないスよね」

黄瀬涼太は顔をしかめながら言った。たしかに壊れないか私も心配だ。
だからと言って声に出して言わないでほしい、余計不安になる。

「きっと大丈夫でしょう。それより、行かなくていいんですか?」

早く帰りたい。コイツと二人きっりは辛い。そして何より、奴らが勝手なことをするのを早く阻止したかった。
行く気満々の私に黄瀬涼太は少し驚いた表情を見せ、そして妖しい笑みを浮かべる。

「名前がやる気みせるなんて珍しいっスね。さっきまで嫌がってたのに。何か訳あり?」

「そんなんじゃありません」

「なら、いいんスけど。さて、行きましょうか」

「はい」

武器であるFG42をいつでも使えるように持ち、仕込んであるダガーを確認した。
そして黄瀬涼太に続く。黄瀬涼太の肩にはMP5K・・・に似た銃。おそらく改造でもしてるのだろう。

入り口を堂々と開けて、黄瀬涼太は侵入する。そのまま驚いている奴らに向けて銃を向け、放った。
飛び散る血しぶき。奴らは次から次へと肉塊に変わっていった。(というか私いらなくない?)騒ぎを聞きつけてやってきたであろう仲間も次々と死んでいった。
黄瀬涼太は入口から一歩入ったところに立ったまま、でも敵はどんどん死んでいく。笑いながら殺していく黄瀬涼太に狂気を感じた。

「(・・・うっ・・、)」

血の匂いが充満してる。視界も最悪。吐き気がしてきた。


しばらくして銃声が止む。気配を探っても生存者はいないようだった。
黄瀬涼太は死体に近づき、踏みつけ、そしてぐちゃぐちゃになった身体をさらに混ぜまわす。
私は眉間に皺がよるのを感じた。しばらく経って満足したらしい黄瀬涼太は私の方を向いた。血に濡れたその体で私に近づいてくる。

「名前・・・」

「なんですか」

「なんで、攻撃しなかったんスか?」

「・・・攻撃しようとしたら、貴方に殺されそうな勢いでしたから」

「ふぅん、・・・まぁ、そうっスね。ねぇ名前」

「はい」

「あんた、人殺したことないでしょ」

ドキリ、とした。黄瀬涼太の言うとおりだったから。だからと言ってここで動揺するわけにはいかない。
気を引き締めなおそうとしたその時、黄瀬涼太の血濡れた手が私の頬に触れた。

「・・・っ、」

「血すら、ダメなんスね。向いてないよ。軍なんて。ねぇ、どうして入ったんスか?」

血がついた感覚が気持ち悪い。それなのに黄瀬涼太は頬を撫でるのをやめなかった。

「ちょっと・・・」

「ねぇ、答えてください」

「・・・貴方には関係ありません」

「ふぅーん・・・。まぁいいっス。さて、帰りましょうか」

何事もなかったかのように歩き出した黄瀬涼太に続く。
帰り着いてベッドに入った後も、血のにおいとあの光景が目に残り寝ることはできなかった。

(忘れたい)(忘れられない)


***
FG42:自動ライフル
MP5K:サブマシンガン



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