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「どうして私が・・・」
「文句は赤司っちに言ってくださいっス」
私が何に文句を言いたいか、それは隊長黄瀬涼太と一緒に仕事をすることに対してである。
私と黄瀬涼太は今、上司の赤司征十郎の命令で隣国の酒場に来ている。隣国・・・つまり私の出身地。もちろん周りは何かを感じてか黙っていてくれてる。
問題はそこではない。黄瀬涼太と二人で仕事というところだ。なんで新人の私と隊長の黄瀬涼太二人で・・・。わからない。
「それにしても・・・、此処来て思ったんスけど、ずいぶんと寂れた国っスよね、此処」
カチンときた。でもここで私がここの国出身だとばれるわけにはいかないからぐっとこらえる。
「・・・そうですね」
「なんか怒ってる?」
「まさか。でもすべての原因は貴方たちでしょう。それをわかって言ってるのですからホント性質が悪い」
私の言葉に何も言わずに笑みを深くするだけの黄瀬涼太。その笑みが私にとっては不快だった。
今回私たちがこの国に来たのはこの国が軍に逆らおうとしているという情報を得たから。その調査だと言っていた。
一瞬私のことがばれたのかと思ったけどそうではないらしい。なんでもこの酒場を拠点に軍事力を高め、そして軍に乗り込もうとしている奴がいるらしい。なんて無謀な・・・。
私たちの仕事はそいつらの調査、および潰せそうなら潰すことだ。偵察部隊が殲滅までやるのかとも思ったけどキセキの世代ってのは戦闘能力も高いらしいしあたりまえかと納得した。
「名前、あれ見て」
「あれ・・・?あ」
黄瀬涼太に言われて見た先には武器を隠し持っている大柄な男二人。おそらく彼らは今回のターゲットだろう。
本当は自国の民を裏切るのは嫌だ。でも私の行動の邪魔をされるのもたまったもんじゃない。
「わかったっスか?見失わないように」
「はい」
しばらく観察していると奴らは動き出した。それを見て黄瀬涼太はこっちを一目見、そのまま立ち上がる。つまりはついてこいってことか。
私も立ち上がり黄瀬涼太の後ろに続いた。
「たぶんこのまま戦闘になるっス。覚悟しといてください」
「・・・わかりました」
ごめんね、でも軍は私が滅ぼすから。その邪魔はしないで。
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