エピソードゼロ
トウヤに負けた。僕は僕たちの過ちに気づいた。
過去のことはもうどうしようもないけど、だからこそこれからどうしようかと考える旅に出てしばらく経ったと思う。
いまだにどうするかの答えは出てない。けれど僕をこの遠くの地まで運んでくれたレシラムのこともそろそろ休ませてあげたい。そう思った僕は下に見えた小さな島へ降りるようにレシラムにお願いした。
「・・・この島は・・・?」
たくさんのポケモンの声がする。それもどの声も僕たちを警戒する声ばかりだ。
声がたくさんありすぎて確かなことはわからないがこのポケモン達は野生ではなくナマエというトレーナーのポケモンらしい。
「・・・僕はN。突然ごめん、遠くから僕を乗せてくれた彼、レシラムを休ませてあげたいんだ。少しだけ許してくれないかな」
僕の問いかけに答えてくれたのはピンク色の丸い、どこかタブンネに似ているポケモンだった。
彼女(というのもこのポケモンは此処のお母さんみたいな感じらしい)は僕の後ろにいるレシラムを見て島への滞在を許可してくれた。
それからの彼女たちの行動は早かった。僕らを広場みたいなところに案内し、レシラムと僕に疲れを癒すために食事を出してくれた。久しぶりに心を落ち着かせることができて、僕はすごく安心していた。
「あんた誰?ここで何してんの」
だから忘れていたんだ。彼女たちのトレーナーである”ナマエ”の存在を。
声のほうを振り向くと僕とそう歳の変わらなそうな女の人。彼女は本来ここにいるはずのない僕に向けて刺すような視線を向け、その手はモンスターボールをにかかっていた。
これが僕と僕の姉になってくれた彼女との最初の出会い。
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