俺と大切
教室に戻ってきたけど名前ちんはいなかった。その事実に少しさみしくなりながらも俺はまいう棒の袋を開ける。
「あれ、紫原ぁー!名前は?」
名前ちんの友達に話しかけられた。は?なんで名前ちん?
「知らないよー」
「あ、そう。名前あんたに話があるって言って出て行ったんだけど・・・会ってないの?」
何それ知らねぇし。
そう思ってるのがわかったのか名前ちんの友達は「会ってないならいい。邪魔してごめん」と言って去って行った。
俺はしばらく動けなかった。名前ちんが俺に会いに来た、でも俺は会ってない。つまり来たけど会えなくなった。それって、あの会話を聞いてしまったと言うことではないかと思ったから。
「(名前ちん・・・っ!)」
柄にもなく焦ってる。どうして焦る必要があるのか、それが俺にはわからなかった。だって俺にとっての名前ちんは幼馴染で、あのとき言った言葉に嘘はないんだから。
わからないけど名前と話さなきゃ、その想いが俺を動かした。走りたくなんかないのに走って部室の近くまでたどり着く。だけど、そこから進めなくなった。赤ちんと名前ちんが抱き合ってたから。
二人を見てイライラした。どうして接点のない二人が抱き合ってるわけ?それに名前ちん泣いてるし。
なんでこんなにイライラしてるんだろう。名前ちんが幼馴染だから?でもそれくらいでこんなにイライラするもんなのかな。何かが違う気がする。
「紫原は、苗字さんのことが好きなのか?」
赤ちんに言われた言葉が脳内を駆け回る。そうか、そうなのかもしれない。俺は名前ちんが好き。
だから赤ちんと抱き合ってる名前ちんを見てイライラしたし、教室に名前ちんいなくてさみしいと思ったし、会話を聞かれたことに焦った。認めたらすっきりした。
だから俺はすぐにでも名前ちんに俺の気持ちを伝えたい。
(あー、どうやって名前ちんと二人きりになろうかな)(家にでも押しかければいっかー)
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