幼馴染と昔話


私が赤司君のことを名前で呼ばないのには意味がある。


「・・・ねぇ名前、あんた赤司と幼馴染なんだよね?なんで名前で呼ばないのさ」

「・・・え?」

学校で友達に言われたこと。私がなぜ赤司君の名前を呼ばないかということ。もちろんこれには理由がある。


ここで少し昔話をしよう。これは私たちが小学校低学年の時の話だ。
入学当初は私もまだ「征ちゃん」と呼んでいた。周りも私たちが幼馴染って知ってるから何も言われなかったし私も何とも思ってなかった。
そんなある日のこと、私は放課後に突然赤司君に呼び出された。

「征ちゃんなぁに?どうしたの?」

「・・・名前」

「ん?」

「・・・もう僕のこと名前で呼ぶのやめてくれないか」

「・・・えっ?」

一瞬時が止まったように感じたのを今でも覚えている。
何を言われたのか理解できなかった。だってあんなにも仲よくしてくれてたのに。笑ってくれてたのに。

「だから、もう僕の名前呼ばないでくれ」

「・・・な、なんで・・・?」

「・・・もう嫌になったから」

「・・・あ、あのっ・・・せいちゃ「だからやめろって言ってるだろ」・・っ」

それから私は何にも言えなくなってしまった。その時の私は泣きそうになるのを耐えるだけで精一杯だった。


「・・・・・・・・・・・・名前・・・・・ごめん」

















「ってことがあったから、私はずっと赤司君って呼んでるの」

「なにそれ・・・赤司のやつサイテーじゃない」

「ううん、赤司君は悪くないの。たぶん私がなにかしちゃったんだよ」

「そんなのっ、違うでしょ!?あんた何にも言わないわけ!?」

「うん。絶対に何も言わない。だって今だってまだ仲よくしてくれてるもん。私はそれで充分だから」

「・・・馬鹿名前」

「うん、知ってる」

それから彼女は何も言わなくなった。
誰に何を言われても私は赤司君に文句を言うつもりはない。だって言って「じゃあもういらない」とか言われたら耐えれないから。



(これは私の意地)(誰にも譲れないの、譲りたくないの)
(この関係だけは守ってみせる)


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