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青峰大輝に胸を触られる事件から数日。私は漸く休暇を得た。
私がすることはただ一つ。軍の内部を探ること。今日は赤司征十郎がいないから、建物内を探るのにもってこいだった。

「(・・・ここ、人の気配を感じない。)」


私がたどり着いた人の気配を感じない部屋。でもその部屋は人が生活しているかのような内装だった。それも、かなり豪華。

「貴女は誰ですか?」

「!?」

背後からの声に反応して振り向く。・・・人の気配なんて感じなかったのに。どうして。

「この部屋にはキセキの皆しか来れないはずなんですが・・・。貴女はいったい何者ですか?」

背後に立っていた水色の髪の、影の薄い男。こんな男、情報になかった。
「キセキしか来れない」と言うからこの男はキセキの世代の知り合いであることに間違いはない。それも、かなり重要なポジションの可能性が高い。だからこそ警戒は解かない。

「・・・」

「もう一度だけ聞きます。貴女は何者ですか?」

「・・・何度言われようと、私は答えないわよ」

「そうですか。しかし、答えてもらわなくちゃ僕も困ります。貴女が軍の人間であるなら、キセキの皆に言わなくてはいけないんです」

軍の人間であるなら、その言葉に少し疑問を抱く。軍の人間よりも恐いのは外部の人間のはずなのに。

「・・・では、質問を変えましょう。貴女は本当に軍の人間ですか?」

「・・・違う。軍、今すぐ潰してやりたいくらいよ」

これは賭だ。
もしも彼が”本当に”キセキの世代の仲間であるなら、私はこの後殺されるだろう。でも、もしも彼がキセキの世代をよく思っていなかった場合。私は協力者を得ることができる。

「・・・貴女は、彼らをあまりよく思っていないみたいですね」

「えぇ、もちろん」

「少し安心しました。まだ彼らに逆らおうとする無謀な方がいるのだと。・・・お願いがあります」






「僕を、ここから連れ出してください」



そう言った彼の瞳には、微かな期待の光がさしていた。



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