消してやる
※木吉×リコ描写あり




姫は男のセンスがない


木吉なんてイケ好かねぇ奴が好きだなんてほざきやがる


今日の合宿に木吉が来ると分かった途端私も行く!とか言ってついて来たくせに本人に話し掛けられずにいる


本当バカじゃねえの


「真!」


「何か用かな」


「あのね、今から木吉さんにこれ渡しに行こうと思って…」


「…ミサンガ…だよね」


「ミサンガだよ?」


姫が握り締めているミサンガとやらは網目もバラバラでよれてしまっている


お世辞にも上手いとはいえない出来だが、そんなものをこの俺が欲しいなんてお前は思ってないんだろう


バスケの練習を見ても俺の本性に気づかないくらい鈍いからな


たから笑ってやる


有り得ないほど優しく、本心を隠しながら


「それじゃあ行こうか」


「ついて来てくれるの!?」


「そのつもりで声をかけてくれたんでしょ?」


「うん!ありがとう真」


歩いてるときは平気だったくせに木吉の部屋の前までついたら緊張しまくる姫に、そって背中を押す


「よし…。失礼しまー」


ドアを開けるため引き手を引く手が途中で止まった


姫の目は驚きと悲しみによって見開かれていた


「な、んで木吉さんと…リコちゃんが」


ああ、ついに来た


お前を手に入れる時が


堪え切れない笑みを深くして囁く


「木吉もなかなかやるなぁ。監督とあんな仲になってるくせに姫にも優しい面して愛想振り撒くなんて!」


「ち、違う!木吉さんはそんな人じゃない…!私が……勝手に勘違いしただけ」



ドアの向こうにはキスをしている男女の影


俺は姫の目を自分の手で覆うと、すぐに手の平が濡れた


「ごめん分かってるよ。苦しいよね」


「あ…ごめ、ごめんね。ありがとう」


「泣いていいよ俺ならいつでも胸を貸してあげる」


「うっ、うん。真…優しいね」


「そりゃあそうだよ。……こんなときに言うのは卑怯だけど、俺姫がとっても好きなんだ」


「えっ…」


「そのミサンガ、俺にくれない?」


「あ…」


俺は力の篭っていない手からそっとミサンガを取り眺める



「これは姫が木吉を思って作ったものだろうけど、よかったら次は俺のことを考えながら作ってほしいな」


「わかった。でも私…」


「まだ木吉を忘れられなくてもいいよ。答えがでるまで待つからね」


泣きながらも嬉しそうに微笑む姫を抱き寄せたらもう終わりだ


木吉なんかお前の記憶から消してやる


「姫、好きだよ」


「真……」



優しい俺に、惚れたら終わり


待つわけねぇだろ、バァカ



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