肩にかける優しさ

「小太郎、姫を見なかった?」


「姫ちゃん?んーそういえば見てないかな」


「…そうか。なら練習に戻れ」


「わ、わかってるもんね!」


先程スポーツドリンクの補給を任せてから姫の姿が見当たらない。


スポーツドリンクは補給されていたから練習に支障はないけれど、運んだ本人がいないのは気になる


こんなことに眼を使うわけにもいかないから校内を10分ほど探し回ったがまだ見つからない。しかしこのまま闇雲に行動するのは得策ではない。


とりあえず図書室へ入ることにした


「姫?」


「なんだ、寝ているのか。」


探していた本人は、あっさり見つかり拍子抜けしてしまう


姫はすやすやと気持ち良さそうに寝ている


「まったく…。僕に心配かけている自覚がないんだろうね、お前は」


そんなところが可愛いのだけれど


髪を撫でるとくすぐったそうに身をよじる仕種が楽しくて、つい何度もやってしまう



「ん、……赤、司くん」


「姫?」


起きたのかと思ったけど姫から再び寝息が聞こえた
「…寝言か。ふふ、嬉しいことしてくれるね」


姫は部活の日誌を下敷きにして寝ていたのでそっとそれを手にとり見ると、部員の癖や苦手な部分など細かい情報が書かれており、端には自分が言った言葉がメモされていた


「……こんなものを見たら怒れないじゃないか」


少し眺めていたら、寒そうに体が震えていたので自分のジャージをかけてみた


「あ、かし くん、大好き」


「…僕もだよ、姫」


でもその言葉は起きているときに言ってほしいな


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