最期に見た笑み
※ヤンデレ、死ネタ



「また、僕の言い付けを破ったんだね」



「ち、違うの!黄瀬君は迷子だったから声をかけてきただけで」



「言い訳なんか聞きたくない」



「あ、赤司くん……許して、ぅああっ」



綺麗な手に頬を殴られ、私の体は地面にたたき落とされる



頬と体に感じる痛みは、まるで赤司くんが傷付いた分だけ痛むように感じる


これは、赤司くんの痛みなのかもしれない



「姫、どうして…、僕さえいれば他の奴らはいらないと言ったじゃないか!!僕以外の男とは二度と話さないと約束したのに!」



学校の男子は私と話すと赤司くんに酷い目にあうことを知っているから声をかけてこないし、通学は車だから外の人に声をかけられる心配もない。


だから、油断した



体育館へ赤司くんにタオルを届けに行く途中に彼を訪ねてきた黄瀬くんに話し掛けられてしまった



確認もせず振り返った私は、相手を見て後悔したけど、もう遅い



体育館の場所を聞かれたので、指で方向を指すと彼は走っていった



それだけ


本当にそれだけなんだ




「会話はしてな…痛!」



話そうとしたらまた殴られた



「涼太に見とれていただろう」



「見とれてなんかいない!私は赤司くんだけ…うっげほ、ごほ…」



お腹を蹴られたことによりむせて喋ることができなくなる



「最初からこうしておけばよかったんだ。」



息つく暇もなく、殴られ、蹴られ、目の焦点があわなくなる



「僕のことが好きかい?」



聞こえた言葉に、なんとか頷くと、ぼやけてる赤司くんは満足げに笑った



「なら良かった。そのまま――」



もう、赤司くんさえ見えなくなる



「僕を好きなままでいてくれ」



私の意識はなくなった





――――


「もう、死んでしまったかな?」


眠ったように見える姫の心臓を確認すると、息はしていない。



間に合ったようだ



なぜもっと早く実行しなかったのだろうか



僕を愛してくれなくなる日に怯える心配もない。



君は、ずっと僕を好きな君のまま



「僕は姫を愛しているよ」



そして僕は自分の体に綺麗なその瞳を、取り込んだ


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