ジャーマン

「よう。今日暇だろ?喫茶店行かねー?」


「行かない。しつこい」



彼、灰崎祥吾は昨日からこの調子だ



灰崎くんのことは1年生の頃から同じクラスだけど、女たらし、暴力的などイケメンだけど素行不良な彼と一般女子である私が親しいはずがない。むしろお互いに興味がない。…はず



しかし昨日、コンビニで万引きをした男子にジャーマンスープレックスを決めたところを見られてから追いかけられている




「なぁ佐藤。じゃあゲーセンとか」


「一人で行けば?」


間髪入れずに断ると、灰崎の機嫌が悪くなった



言い過ぎたかな?とも思ったが口は止まらない



「てか何で昨日から話し掛けてくるの?まさか私に惚れちゃった?」



「おう」



「え」



キレてどこかへ行くことを期待したのだが、予想外な展開になってしまう。自分が恐ろしいことを言ったことに気づいたのか灰崎の表情はみるむる真っ赤になった



「はっ、ば 馬鹿じゃねぇの!ちげぇよ!今のは…技だ!あの固め技に惚れたんだよ!勘違いすんな」



「で、ですよねー」



違うとか言いつつもその赤い耳とか頬は誤魔化せないよ灰崎君。



灰崎くんが私を好き



考えてみたら私まで真っ赤になってしまった。昨日までの彼なら想像もできなかっただろう。しかし今日の灰崎くんはなんだか可愛くて



「…で、行こーぜ。ゲーセン」



ぽつりと消え入りそうに呟かれたその言葉に頷いてしまった


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