「紫原ー」
「なぁにひめちん」
紫原の膝に座りむぎゅっと正面から紫原に抱き着く
「紫原は可愛いね」
「そんなこと言うのひめちんくらいだよ」
紫原はお菓子を食べていない方の手で私を抱きしめ返す
「かわいいから食べたくなる」
「オレを?」
「うん」
「ふーん」
紫原はお菓子から手を離し、私の手を口元へ持っていった
「ん」
「え」
何を思ったかいきなり私の指を口に入れ、吸いはじめた
普通は付き合ってもいない異性にいきなりこんなことされたらドン引きとか嫌悪感が湧くだろうけど、相手は紫原だ。でかい赤ちゃんに指をしゃぶられているのと変わらない
「ん……はぁ、やっぱり美味しいねひめちん」
「そう?ありがと」
再び紫原は私の指をしゃぶる
ガリッ
「っ痛!」
いきなり指を噛んできて、思い切り口から手を抜きさする
「いったー、何するの」「だっておいしかったから」
指を見ると歯型ができて、血がにじんでいる
私は怒っているのだが、本人はケロッとしている
「もう……」
「ねえねえ、姫ちん」
「何」
「ん」
紫原が自分の手を私に差し出してきた
「オレにもつけて歯型」
「……覚悟しなさい」
付けられた歯型を授業中とかに見てにやける自分が容易に想像できる
なんだか悔しかったので、私も思い切り噛んで歯型をつけた
しかしやはり本人は痛そうな顔一つせず笑って言うのだ
「えへへー、ありがと姫ちん」
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