性格の悪い君が好き

私はクラスの花宮君が嫌いだ。だっていつも笑顔で周りに愛想振り撒いて


男のくせに。女子かっつーの




ある日私がファストフード店でポテトを食べているとバスケ部が一角を陣取ってきた


(うっわ最悪花宮じゃん)


もちろん花宮がいないわけがないのだが、何やら様子が変だ

いつも爽やか笑顔な花宮が、笑っていない!


しかし周りにいるバスケ部の人は笑っている


(こ、これはもしかするとリンチでは……)

さすがにそれはないと思いつつも気になった私はさりげなく近くに席を移動した

「花宮お前、真由をフったんだって?もったいねーの」


ま、真由ってあの田辺真由!?

めちゃくちゃ可愛い子で有名じゃん!

やっぱ眉がへんてこでもイケメンは強い……

「ああ、そんな名前だったな。あのブス」



……え?

え え え

今私の耳にありえない言葉が聞こえたんだけど

いやまさかそんなあの花宮君に限って

「さすが」

「花宮は趣味もレベル高いな」


ありましたー

バスケ部の皆さんは笑いながら会話している


「そこまで高くないぜ。だが、まあなかなか振り向いてはくれないけどな」


「へー珍しいじゃん。つか好きな人いたんだな」


「ああ。そいつには嫌われているがな」



やばい やばいかもしれない

ビンビンきてる


実は私、性格が悪い男が好きなのである

あの田辺真由をブスよばわりしたこいつはかなり性格が悪いんじゃないだろうか


「じゃあ、その子がもし別の男を好きになったらどうするんですか?」


「その男を、体中ぶん殴って、蹴って、学校に来られなくしてやるぜ」



ああもうダメだ私

堕ちてしまった

そんな意地悪い顔ずるい


私はたまらずに彼らの前に飛び出した


すると花宮君はとても驚いていた


「え…あ、佐藤さん!?き、奇遇だね!会えて死ぬほど嬉しいよ!」


いきなり取り繕う花宮の手を私はがしっと握った


「え、佐藤さん?」


「は、花宮君……私、花宮君のこと好き!付き合ってください!」


花宮君は目を更に真ん丸にした


「え?その……さっきの聞いていたんだよね?」


私はうんうんと頭を縦に振る

「なんでいっつもその喋り方にしないの!?口調もその考え方もすっごくかっこいいのに!」


私がそういうと、花宮君は面食らった顔をする


「本当にそう思う?」


「うん」


「さっきの言葉、本気だよな?」


「うん」



花宮君は口元をいびつに歪ませ、私の顎に手を添える


「なら、今日からお前は俺のモノだ。わかったか、バァカ」


ずきゅううううん、と
恋に堕ちていく音がした


もう彼から逃げられない


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