それは突然の別れだった
荒れていた俺に近づいてきたかと思えば告白してきて
この1ヶ月、順調に交際を続けてきた
それなのに、目の前にいる女は俺に別れを告げている
「大輝、今までありがと。もうお互い十分楽しんだよね」
「ふざけんなよ、何…言ってやがる」
姫は心外だ、とでもいうように肩をすくませた
「ふざけてなんかない。
私ね、彼が好きなの。」
彼
心当たりならある
俺とあいつと姫の3人でいる時、付き合ってんのは俺のはずなのに
なんだか自分が二人の邪魔をしているような気分だった
「だから大輝、別れよう」
「……んでだよ」
「大輝だって本気じゃなかったでしょ?桃井さんがいるし」
「さつきはただの幼なじみだ」
「でも大輝の好みのタイプじゃん。ていうか、大輝が告白OKしてくれて感謝してる。おかげであの人と繋がりができたし。ねぇ、この1ヶ月楽しかった。私たち、いい友達になれるよ」
またね、そういって姫は去っていった
後日、あいつと姫が手を繋いで照れくさそうに歩いているのを見た
認めたくなかった
ただ利用されていただけなんて
信じていた
姫は本当の俺が好きなんだと
姫が言っていた言葉を思い出した
(大輝だって本気じゃなかったでしょ?)
思わず口元が弧を描く
俺は、本気だった
本気で好きだったんだ
あいつへの嫉妬は悲しみで消えた
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