「どうしたんスかひめっち。一緒に昼食誘ってくれるなんて珍しいっスね」
いつもなら別々に食べているお昼ご飯を今日は一緒に食べようと思った理由……それは
「お弁当作ってきたから食べてほしくて」
「本当!?すっげえ嬉しいっス!!」
ぱあああと擬音がつくくらい笑顔になった涼太にお弁当を押し付ける。それを受け取り蓋を開け再び涼太は笑顔になった
「美味そう…本当にオレが食べていいんスか?」
「うん。涼太に作ったんだし食べてほしいな」
「ひめっち……いただくっス!!」
箸を取りだして豪快に食べる。おかずとご飯がいっぺんに無くなっていくのを見るのは気持ちがよかった
「美味いっス…!こんな美味しい弁当食べたの久しぶり……!」
「え」
「え?」
「昨日女の子と一緒にお弁当食べてたの見たよ?」
そう。いつもならバスケ部の人と食べてるのに昨日はあろうことか彼女である私を差し置いて別の女の子と食事していたのだ。それを見て対抗心を燃やしたのだから間違いない
「ああ、あれは桃っちスよ」
「桃井さん!?」
美人で恋の噂が絶えない彼女がまさか涼太に恋をしたというのだろうか。そんなまさかどうしよう
涼太は顔面蒼白になってる私を見て不思議そうに首を傾げた後、ああ、と納得したように微笑んだ
「心配しなくても、黒子っちにあげる料理の毒見…味見役だから大丈夫っスよ」
「あ、そうだったんだ……」
じゃあ私は一人で誤解して勝手にお弁当作って…なんだか空回りした気分だ
「妬いた?」
「……妬いてない」
「ふふ、嘘吐きなひめっちは、明日もオレの弁当作ってくる罰を与えるっス!で一緒に食べること!」
ウインクしながら強請ってくる涼太は凄く格好良く見えた
「…うん!」
「明日はあーんのオプションつきで」
「ええっ!?」
「はい、あーんするっス」
「今!?」
お返しに涼太の焼きそばパンを一口貰う
「明日が楽しみで待ちきれないっス!」
「あはは」
明日は大好きな君に今日よりも美味しいものを作ってくるからね
とある昼食の風景
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