空想だったのは

※花宮病み?夢主高尾の彼女。高尾不憫というか死


霧崎に入って姫と出会い彼女に恋をした。素の俺を見ても怯むことなく態度も変わらなかった。その上完璧だと思っていた俺に少しの親近感まで湧いたと言う。それからだ。姫を女として意識するようになったのは

「何やってんだよ」

「なんだと思う?」

昼食を食べ終えた姫は携帯を取り出し誰かとやり取りをしている。正直気に入らない

「誰とメールしてんだよ」

「彼氏」

「…………は?」

彼氏。こいつは確かにそう言った。しかし姫に男がいるなんて噂聞いたこともないし学校では俺と離れないときはない。いつの間に…

「あれ言わなかった?秀徳の高尾と付き合ってるんだよね」

はい、と言って手渡された携帯の待受に映し出されていたのは高尾と姫がキスをしながら撮っているプリクラだった。他にも見せられた画像フォルダには数多く二人の画像が入っている

「中学が一緒で、卒業するとき後輩だった和成が告白してくれてね。それ以来恋人なんだー」

照れながら話す姫を見た瞬間自分の中に電撃が走った。許さない。許さない。俺と出会ったときからそれ以上前から姫と付き合ってたなんて認められない。だって俺は姫が好きなんだぜ?お前もそうだよな?つか俺等付き合ってたよな?お前は悪くねえコイツが悪いんだ俺の姫を誑かしやがって絶対許さねえ

「俺用事思い出した。午後からサボるわ」

「用事なんだからサボるわけじゃないでしょ。わかったよ」

またね、と笑顔で俺を見送る姫を見て早く彼女を救わなければいけないと感じた


俺の頭脳を生かし高尾の家を調べ待ち伏せする。部活で居残ったのか結構な遅い時間だった。自分が漕いできた乗り物を仕舞い家に入ろうとした瞬間を狙って体当たりして押さえ込もうとした。しかしながら咄嗟にかわされ被っていたフードを外された

「な!?アンタ、確か霧崎の……」

「フハッ、花宮だ。これから死ぬ人間には覚える必要もないがな」

「花宮さんのことは姫から良く聞いてるぜ。何でこんなこと…」

「気安く呼ぶな。姫を親しげに呼ぶなんて礼儀のなってねえ犬だな。」

「んなこと言われても俺と姫は付き合ってるんすよ?それにこれからアイツが…」

バァカ。それはテメエの妄想だよ何か姫の弱みでも握って脅したんだろ?俺に負けず劣らずのゲスだぜ高尾。だが姫は俺の女だ。予定が狂っちまったがまあ良い。消してやる

「っ!?花宮さ…」

何か言おうとした高尾の頭を隠し持っていた鈍器で殴った。気を失っていなかったから再び殴った。何度も何度も。止めようとする腕を殴り起き上がろうとする足を蹴り。気付いたときにはもう息がしていなかった

殴るのに夢中になっていた俺は近づいてくる足音に振り返る。そこには目を見開いた姫の姿が。迎えに来てくれたんだ。俺は彼女に近づく

「や…真?なんで、ここに……ていうかそれ…和成?」

「ああ。中々しぶとかったぜ。手間がかかった。でもこれで姫を脅かすものはなくなった。嬉しいだろ?喜べよ」

「な、何言って…近寄んないで…人殺し……!和成を返してよ!!」

高尾の洗脳が解けていないのだろうか。姫は喚き叫ぶ

「大丈夫だ。俺がいる」

「い、いや…和成……助けて和成ぃ……」

俺が抱きしめると怯える羊のように体を震わせ唇をぎゅっと噛み締めていた。嗚呼何故か空しく空いてしまった心が間違っていたと叫んでいる

俺はそれに気がつかないふりをしながらつかの間の温もりをただ感じていた



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