付き合って3年になる彼女が突然別れを告げてきた
「嘘、だろ…?」
「嘘じゃないよ」
姫は躊躇いも迷いも見せない表情で言い放つ
「なんで…なんでだよ!今までいっぱい俺のこと支えてくれてたじゃねえか!俺は今もお前が好きだし3年も一緒だったんだぜ!?どうして……」
「好きな人ができたの」
「…っ」
間髪入れずに答える姫。その瞳にはもう俺なんか映ってなくてただ一人だけを捉えていた
「ちなみに聞くけど…真ちゃんじゃ、ねえよな?」
どうかお願いと心の中で呟くも彼女は目を伏せながら顔を横に振った
「好きになった人は緑間くんなの」
「マジかよ……」
「不器用だけど優しくて努力家な緑間くんを見ているうちにだんだん好きになっちゃって…多分フラれるだろうけどこれから告白するつもり」
「そ…か。分かった。頑張れよ」
意外とあっさりした別れ話を終わらせて一人水呑場で頭から水を被る
「頑張れなんて良く言えたなー俺。つか本当真ちゃんには敵わねえわ」
泣きたくもないのに勝手にこぼれ落ちる涙は蛇口から出てくる水と一緒になり俺の顔を濡らす
中学の時真ちゃんに負けた俺を奮い立たせてくれた姫が高校に入って真ちゃんを好きになった。何の因果だよマジで
「あーあ多分あいつも姫のこと好きだから付き合うんだろうなー。それで明日になったら殴れとか、嫌われても仕方ないのだよ?とか言いそうだぜまったく…ま、殴んねーし嫌いになれねーしああ本当俺って物好き」
口では何と言おうと体は正直だ。涙が止まらないから水呑場から離れられない
「っ…ああくそ、マジ悔しい…俺だって優しいし努力家だぜ?不器用ではないかもしんねーけど…真ちゃんより俺の方が…絶対お前を……!」
泣き腫らすも現実は変わらない。次の日予想通り二人は恋人になって予想通りのことを言ってきた真ちゃんと友情を再確認し予想通り俺は未練たらたら
君は親友の恋人になってしまったけど、まだ好きでいさせてください
俺はまだ姫への恋心を離すことができない
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