どこでも馬があわない人たちというものはいるもので
例えば今目の前にいるこの二人もそう。なぜここまでバチバチと見えない火花を撒き散らせるのか
「青峰、この席は俺が先に座っていたんだ。お前が後から来たのだからお前が違う場所へ移るのが道理だろう」
「うるせえな。空いてるとこに座って何が悪いんだよ」
現在赤司くんと青峰くんは私の両隣で食事をしている。赤司くんだけでも目立つのに青峰くんまで来たから昼食時の食堂は混んでるのに私たちの席の周りには誰も座ろうとしない。
「俺と佐藤に気を使って他の奴らは近づかないというのに…」
「いやそれはお前と関わりたくねえからじゃね」
「……どういう意味だ」
「そういう意味だけど」
「け、喧嘩しないで楽しく食べよう?」
耐え切れず出てしまった私の発言に二人はやり取りを止めこちらを見る
「そうだな。青峰に時間を費やすだけ無駄だったようだ。佐藤俺のこの湯豆腐をあげよう。前美味いと言っていただろう」
「ありがとう!!赤司くんがいつも食べてる湯豆腐美味しいよね」
「こだわりがあるからな。ほら」
「あ、うん」
赤司くんが自分のスプーンで湯豆腐を掬い私に差し出し私は口を近づけて食べようとした。しかしその行為は突然出てきた青峰くんの手によって遮られてしまう
「姫、次移動教室だからとっとと行っちまおうぜ」
「あ、うん。でもこれ食べてから」
「……青峰。自分が既に食事を食べ尽くしたからとはいえさすがに無理矢理だと思うぞ」
「…るせ」
この二人と食事するのは好きだけれど会えば必ず雰囲気が悪くなってしまう。それなのに毎日一緒に食べるなんてやっぱり
「…ふふっ」
「どうした佐藤」
「なんでも。ただ仲良しで羨ましいなって」
「はあ!?ねえよ!!!」
「まったく…お前は五月蝿いな。佐藤、俺は青峰よりお前の方が仲良しだぞ」
「俺だってそうだぜ!赤司てめえ先に言うんじゃねえよっ」
「見下ろすなアホ峰」
会えば必ず口喧嘩になるけれど、きっと明日も変わらず三人で食べるだろう
私は二人を見て微笑むのだった
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