「んー…」
「ダメです。じっとしていてください」
風邪をひいてしまった。熱も38°で平熱が低い私にとっては結構な高温
そんな私をテツヤが見舞いにきてくれた
テツヤが私のおでこに手を乗せる
「まだ熱いですね…辛いですか姫」
「ん…、テツヤの手、冷たくて気持ち良い」
私はテツヤの手を掴んでほお擦りした
「……」
「ううー」
「まったく」
「わっ」
いきなりテツヤが私に覆いかぶさる。ベッドが揺れ軋んだ
驚く私に触れるだけのキスをして毛布の中に入り込む
私は物足りなさを感じ訴えた
「キス、これだけ…?」
「おねだりしてもダメですよ。体調悪化させたらどうするんですか。……ああもうそんな目で見ないでください。仕方ないな」
テツヤは不満な私を抱き寄せ早く寝なさいというように子守唄を歌いはじめた
耳元で、優しく
「僕が君を抱きしめて子守唄を歌ってあげます。あまり上手くはありませんが…不満ですか?」
「……嬉しいです」
「なら寝てください」
再びはじまる歌を聞きながらテツヤの腕の中で私の意識はまどろみながら溶けていった
でもきっと
「君の熱が僕に移れば良いのに。姫に看病されるなんて幸せすぎて、想像しただけで笑っちゃいます」
まどろみの中聞こえたこの言葉は夢じゃないよね
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