三島さまより共依存参加させていただきました
恋をしている女の子というのはとても輝いている
目をきらきらさせて彼のことを話すその可愛いさったらない
そんな顔させてる相手がオレだったらもっと幸せだったけどね
「涼太?」
「ああ聞いてるっスよ。それで?」
「それでね、大輝ったら酷いんだよ!さつきに比べてお前の胸は小さすぎるって。さつきと比べたら誰だって小さいよ!」
「ふふ…」
「何笑ってるの!」
「ごめんごめん。だって全然酷いと思ってる顔してないっスよ」
指摘してやると顔を真っ赤にして俯いてしまった
本当、彼氏以外の男に隙を見せすぎっスよ
青峰っちはこんな可愛い子放っておいて心配じゃないんだろうか
「でも」
「ん?」
話を続けていた彼女の様子が一気に変わる。惚気て照れていた顔に陰りがあらわれた
「やっぱ男の子って胸大きい方が良いんだろうな。大輝も意識してるからいろいろ言ってくるわけでしょ。幼なじみだーって言ってるけど本当は」
「姫」
不安を言う彼女の口を手で塞ぐ
だめだ。その先を言わせたら
「青峰っちは桃っちのこと幼なじみ以上には思ってないっスよ。絶対」
「でも…。じゃあ涼太はどっちが好き?」
「え」
「やっぱ小さいより大きい方が良いでしょ?」
上目遣いで見られ思わず口をつぐむ
君ならどっちでも良い、って言いそうになるのを必死で堪えた
声に出せば親友の位置さえなくなってしまうかもしれない。それが怖くて言えない
慰めようにも簡単に小さい方が好き、なんて言ったら桃っちより姫が好きだって言ってるみたいだし…。まあこれはオレが考えすぎてるだけなんだろうけど
「…オレもそうだけど好きになった子ならどっちでもいいんスよ、男って」
結局無難な答えしか出てこない
「そういうもの?」
「そういうもの」
納得のいかない顔をしてる姫の頭を優しく撫でて髪を梳く。すると彼女は気持ちよさそうに擦り寄ってきた。この行動が許されるのは親友だから。こんな風に恋愛話を聞いてあげられるのも親友だから。
この立ち位置に不満があるわけじゃない。姫も青峰っちも大好きで尊敬してるから二人がくっついて嬉しいし、何かあっても相談にのってあげられるのが好きだ。たまに胸が痛んだりもするけれど親友というポジションには満足してる
しばらく姫の髪を弄んでいるといきなり教室のドアが大きな音を立て開いた
「姫!!」
「あっ大輝」
青峰っちがずんずんとこちらに向かってくる。言うまでもなく不機嫌だ
「黄瀬といたのかよ」
「うん相談にのってもらってたの」
「……相談なら黄瀬じゃなくて俺にすればいいじゃねえか」
「駄目っスよ。青峰っちが乱暴で怖いって言うからザリガニさんだと思えば怖くないって教えてたんスよ。ねー」
「ねー」
二人で笑いあってると嫉妬丸出しの青峰っちが引きはがしてきた。そのまま姫を引きずっていく
「だ、大輝引きずらないで…」
「じゃあな、黄瀬」
「あっまたね涼太!ありがとう」
「お礼なんかいいっスよ。二人ともまた明日」
去っていく二人を見送るとため息をついてカーテンの隙間から見える窓の外に視線を移す
「ほら、やっぱり青峰っちが好きなのは姫じゃないっスか」
自虐的に呟くも返事などない
窓の外でキスをしている二人は純粋で綺麗でガラス一枚隔てているだけなのになずだか遠く感じた
あんなにお互いを想いあっている二人の間になんて入れないし入ろうとも思わない
失恋してるというのになぜだか心は笑っちゃうくらい晴れ晴れしい
ねえ姫
二番目でいいから傍にいさせて
一番目にはなれそうもないから