お菓子も君も

「敦、敦」


「んー?あっ…」


「はい今日のお菓子!なんと新発売のチョコだよー」


「すげー!ありがとー」


ひめちんの手からお菓子を受け取ろうとしたらお互いの手が触れて慌てて引っ込めてしまった


お菓子の箱はそのまま落下する


「ご、ごめん……」


「いいよいいよ。箱だし。食べるの敦だもん」


ひめちんは笑い飛ばして自分の席に戻ったけど、ため息をついて何かを考えてるみたいだ


毎日お菓子をくれるひめちんは、俺にとってお菓子と同じくらい大切な子


一緒にいると楽しいし胸がぽわーって暖かくなって他の奴といるとそいつを捻り潰したくなるくらいイラつく


それを室ちんに言ったら、「敦、それは恋だよ」って言ってたから、俺はひめちんへの恋心を自覚した


でもここからが問題。


恋なんて初めてだし、ひめちんは小さくて俺が触ったら簡単に壊れそうで、近づきたいのに近づけない


触れ合ったらさっきみたいになってしまうし


いつまでもこんなんじゃ嫌だから今日告白する決意を固めたのに早速これだ。あー俺のバカー


「なあ紫原」


「あ?何、話しかけ…」


「知ってるか?佐藤って好きな奴いるらしいぜ」


「…はぁ!?」


えっえっえっ何それ初耳なんだけど。好きな奴?誰?つか何で俺に言わないわけ?


「仲良いのに知らなかったのか。相手は知らないけどさっき女子と話してんの聞こえてさ」


「…ふーん。俺はそいつら以下、ね。いらない情報ありがとー」


むかつくむかつくむかつく


なんだよそれなんでだよ


むかつくより落ち込んでる自分が嫌でチョコをドカ食いする


ひめちんに好かれてる自信ならある


少なくても嫌われてはいない自信もある


でも、それは友達として?むしろ動物みたいな?それともただのクラスメート?


「うー面倒くさい」


「敦、口の周りにいっぱいついてるよ?取ってあげるからじっとして」


「ひめちん…」


苦しいよ


再び俺に構うひめちんに、気持ちを押さえるなんてできない


「ひめちん、好き。俺と付き合って」


「えぇ!?」


クラスの奴らが何か言ってるけど気にしない。


だって俺たちの問題でしょ?


「だめ?」
「だめじゃない。わ、私も敦のこと好きだから」


「ひめちん…!」


嬉しくて抱き着く


折れそうに薄い肩や腰を壊れないようそっと


柔らかくて、俺までふわふわになったみたいに気持ち良くなる



「なんか胸がぎゅーって感じ。ねえ、これって恋だよね」


「き、聞かないでよ。…私も同じ気持ちだけど」



「うれしーひめちん大好きー」


「好きな奴って俺のことだったんだー」


「き、聞いてたの!?」


「ふふ、内緒ー」



さあこれで
お菓子も君も、僕のもの



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